揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
こうして、急遽決まった合コンデビュー。どんな服装で行ったらいいかも分からず、取り敢えず梨乃にいろいろアドバイスをもらい、ドキドキで当日を迎えた。


待ち合わせ場所には、梨乃の他に3人の女子がいて、当然鈴は、全員初対面。まずは挨拶を交わし合って、そのまま会場に移動。


会場には、既に男子勢が揃っている。大学生だけかと思えば、社会人もいる。女子の方は、全員同い年だったが、それでも梨乃のもう1つのサークルのメンバーだけでもないよう。


もちろん、梨乃が全てのメンバーを集めたわけではないだろうけど、一体どういう人脈なんだろうと、鈴はどうでもいいことながら、内心首を捻っていた。


自己紹介からスタートした会。少なくとも女子は全員未成年のはずなのに、ほとんどの人が当たり前のようにアルコールを口にしている光景に、鈴はまず驚く。彼女のサークルは、その辺、キッチリしていた。


「あれは、むしろ私が驚いた。普通、こういう席なら呑むよ。」


とは梨乃の弁。やがて、男女相向かいから、席が混合になり、気になる相手へ話し掛けるシチュエーションに。鈴にも、何人か話し掛けて来たが、うまく話せない。


(私、3年の間に、男子と話すの、本当に下手になったな・・・。)


結局、雰囲気に馴染めないまま、時が過ぎ、2次会へという話になったが、鈴は帰宅の途についた。


一応儀礼的に、誘ってはもらったが、自分が浮いてしまっているという自覚はあったから。


翌日、キャンパスで出会った梨乃に


「昨日は、なんか迷惑掛けちゃって、ごめんなさい。せっかく誘ってもらったのに、私、ちゃんと対応出来なくて・・・。」


と謝ると


「まぁ、初めてだったからね。仕方ないよ。」


と笑顔で答えてくれた。


「合コンってさ、人数合わせでお付き合いで来てる人も中にはいるけど、基本的には女子も男子も出会いを求めて来てるんだからね。ある程度は積極的に行かないと。あと緊張してたから、仕方ないけど、女子はキープスマイルは基本だよ。」


「うん・・・。」


「鈴が嫌じゃなければ、また誘うよ。どう?」


「是非、お願いします。今度は頑張るから!」


と少し、勢い込んで答えた鈴に


「頑張らなくてもいいよ。素の鈴を出せれば、絶対に大丈夫だから。」


と梨乃は笑った。
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