揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
「あいつが出て行く前に話をした。さっきのお前じゃないけど、聞いたんだ。これから、どうしたいんだって?あいつはこう答えたよ、『これからも一緒にいたい。』って。」
「なら、それでいいじゃないか。」
「それがあいつの本心ならな。」
「えっ?」
「あいつが本心からそう言ってるかくらい、ちゃんとわかる。これでもかれこれ、5年も一緒に居たんだぜ。」
そう寂しそうに言った達也の顔を、雅紀は言葉を失いながら見つめる。
「結局、だまし切れなかったってことなんだよ。」
「えっ?」
「鈴と付き合い始めた頃、お前に話したよな。今はあばたもえくぼ、恋は盲目で、鈴には現実の俺が見えてない。だけど、これから付き合っていくうちに、ボロが出て、きっと鈴は自分の勘違いに気付いて、後悔する日が来るって。」
「・・・。」
「そしたら、お前にえらい怒られた。『なにウジウジ言ってんだ。向こうがお前に惚れてるんだから、勘違いでもなんでもしている間に、サッサと押し切っちまえ』って。」
「達也・・・。」
「それからも、何度もひやひやしながら、なんとか押し切って、結婚に持ち込んで、結婚式の日に、お前に言われたな。『おい、とうとう押し切ったな』って。昔なら、結婚しちまえば、もうこっちのものって、男は思えたかもしれないけど、でも、今の世の中は、やっぱりそれほど甘くはないんだ。」
「・・・。」
「俺より2つしか上じゃないのに、それなりの企業の副社長で、近い将来には社長さんになる御曹司様。鈴がそんなスペックだけで、惹かれてフラフラする女じゃないとは、思ってるけど、それでも俺とは月とスッポン。その上、背が高くて、イケメンで、仕事がバリバリ出来て・・・そんな奴と比べられたら、俺のどこに勝ち目がある?」
「おい、達也。ちょっと待てよ。」
たまりかねて雅紀は口を挟む。
「達也、まさかお前、このまま尻尾巻いて引き下がるつもりじゃないだろうな?いいか、鈴ちゃんはお前の嫁さんなんだぞ。お前達は、結婚してるんだぞ。一生を共にするって、誓い合ったんだろ?それを・・・。」
「わかってるよ、そんなこと。だから俺は鈴の意思で、目を覚まして欲しかったんだ。」
「達也・・・。」
「だってそうだろ、雅紀。いくら怜奈ちゃんが諭したって、周りがやいのやいの言ったって、鈴の気持ちが、もう俺から離れてるんなら、例え力づくで、鈴を連れ戻したとしても、そんなの、なんの意味もねぇだろ。」
「・・・。」
「俺は鈴に、直接言った。お前は今、俺にバレたから仕方なく、一緒にいたいとか、出張を断るとか言ってるだけだろって。それに対して、あいつははっきりとは答えなかった。イエスともノ-とも。そしてあいつは、結局出張に行った。」
「でも、それは・・・。」
「そう。こう見えても、俺も会社の役職者の端くれだ。やっぱり行きたくありませんが、通用しなかったことくらい、理解はしてる。けど、な・・・。」
ここで一瞬、天を仰ぐような仕種を見せた達也。
「結局、それがあいつの出した答えなんだなって・・・。1日一緒に居て、どうなったのかな?夜の6時頃、帰ってきたって、LINE来たけど、怖くて返信も出来なかった。以来俺は、それでも負けを認めたくなくて、鈴から最後通牒を突き付けられるのが怖くて、逃げ回ってるんだ。俺は正真正銘のヘタれだな。」
そう言うと、達也は自嘲するように笑った。
「なら、それでいいじゃないか。」
「それがあいつの本心ならな。」
「えっ?」
「あいつが本心からそう言ってるかくらい、ちゃんとわかる。これでもかれこれ、5年も一緒に居たんだぜ。」
そう寂しそうに言った達也の顔を、雅紀は言葉を失いながら見つめる。
「結局、だまし切れなかったってことなんだよ。」
「えっ?」
「鈴と付き合い始めた頃、お前に話したよな。今はあばたもえくぼ、恋は盲目で、鈴には現実の俺が見えてない。だけど、これから付き合っていくうちに、ボロが出て、きっと鈴は自分の勘違いに気付いて、後悔する日が来るって。」
「・・・。」
「そしたら、お前にえらい怒られた。『なにウジウジ言ってんだ。向こうがお前に惚れてるんだから、勘違いでもなんでもしている間に、サッサと押し切っちまえ』って。」
「達也・・・。」
「それからも、何度もひやひやしながら、なんとか押し切って、結婚に持ち込んで、結婚式の日に、お前に言われたな。『おい、とうとう押し切ったな』って。昔なら、結婚しちまえば、もうこっちのものって、男は思えたかもしれないけど、でも、今の世の中は、やっぱりそれほど甘くはないんだ。」
「・・・。」
「俺より2つしか上じゃないのに、それなりの企業の副社長で、近い将来には社長さんになる御曹司様。鈴がそんなスペックだけで、惹かれてフラフラする女じゃないとは、思ってるけど、それでも俺とは月とスッポン。その上、背が高くて、イケメンで、仕事がバリバリ出来て・・・そんな奴と比べられたら、俺のどこに勝ち目がある?」
「おい、達也。ちょっと待てよ。」
たまりかねて雅紀は口を挟む。
「達也、まさかお前、このまま尻尾巻いて引き下がるつもりじゃないだろうな?いいか、鈴ちゃんはお前の嫁さんなんだぞ。お前達は、結婚してるんだぞ。一生を共にするって、誓い合ったんだろ?それを・・・。」
「わかってるよ、そんなこと。だから俺は鈴の意思で、目を覚まして欲しかったんだ。」
「達也・・・。」
「だってそうだろ、雅紀。いくら怜奈ちゃんが諭したって、周りがやいのやいの言ったって、鈴の気持ちが、もう俺から離れてるんなら、例え力づくで、鈴を連れ戻したとしても、そんなの、なんの意味もねぇだろ。」
「・・・。」
「俺は鈴に、直接言った。お前は今、俺にバレたから仕方なく、一緒にいたいとか、出張を断るとか言ってるだけだろって。それに対して、あいつははっきりとは答えなかった。イエスともノ-とも。そしてあいつは、結局出張に行った。」
「でも、それは・・・。」
「そう。こう見えても、俺も会社の役職者の端くれだ。やっぱり行きたくありませんが、通用しなかったことくらい、理解はしてる。けど、な・・・。」
ここで一瞬、天を仰ぐような仕種を見せた達也。
「結局、それがあいつの出した答えなんだなって・・・。1日一緒に居て、どうなったのかな?夜の6時頃、帰ってきたって、LINE来たけど、怖くて返信も出来なかった。以来俺は、それでも負けを認めたくなくて、鈴から最後通牒を突き付けられるのが怖くて、逃げ回ってるんだ。俺は正真正銘のヘタれだな。」
そう言うと、達也は自嘲するように笑った。