揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
週末、母親と一緒に過ごすのも、気が重く、鈴は街に出た。
(達也、何してるんだろうな・・・。)
夫からの連絡は、ない。出張から戻ったと報告したLINEにも反応はなかった。
あの夜の夫の言葉は、冷たく厳しかった。
「もう鈴を信じられない。」
「これ以上、一緒に居ても、いいことなんか何もない。」
それは事実上の決別宣言にも聞こえた。これからも一緒に居たいという自分の言葉にも
「そんなの、もう無理だろ。」
としか言ってくれなかった。そう言いながら、尚も揺れていた自分の胸中を、達也はお見通しだったんだろう。そして結局、出張に行ったことで全てはもう終わったと思ってるのかもしれない。
以来、自分からも連絡をしていない。出来なかったといった方が正しかった。そして、このまま時が流れて行けば、どうなるのか。子供でも分かる。
週明けに、また1人で出社すれば、もうそろそろ別居の事実を取り繕うことは難しくなるだろう。人の口に戸は立てられない。「このまま」を先送りすることはもう不可能だ。
既に事態を達観したかのように、もうけじめを付けろと母は言った。
その一方で、馬鹿なことを考えてないで、一刻も早く、達也のもとに戻らなきゃ駄目だよと、懸命に自分を諭し、訴える怜奈。
一人、街を歩く鈴。当てもなく、人込みを縫うように、鈴は歩く。するとふと、携帯が震えていることに気付く。ディスプレイを確認すると、鈴は電話に出た。
「もしもし。」
『鈴、大丈夫?全然連絡ないから、心配してたんだよ。』
梨乃からだった。
「ごめんね、いろいろあってさ。今、梨乃はどこ?」
『家だけど。』
「突然だけど、これから行ってもいい?出来たら一晩泊めて欲しい。」
『それは構わないけど・・・。』
「ありがとう。じゃ、今からそっちに向かうね。」
そう梨乃に告げると、鈴は携帯をしまった。
(達也、何してるんだろうな・・・。)
夫からの連絡は、ない。出張から戻ったと報告したLINEにも反応はなかった。
あの夜の夫の言葉は、冷たく厳しかった。
「もう鈴を信じられない。」
「これ以上、一緒に居ても、いいことなんか何もない。」
それは事実上の決別宣言にも聞こえた。これからも一緒に居たいという自分の言葉にも
「そんなの、もう無理だろ。」
としか言ってくれなかった。そう言いながら、尚も揺れていた自分の胸中を、達也はお見通しだったんだろう。そして結局、出張に行ったことで全てはもう終わったと思ってるのかもしれない。
以来、自分からも連絡をしていない。出来なかったといった方が正しかった。そして、このまま時が流れて行けば、どうなるのか。子供でも分かる。
週明けに、また1人で出社すれば、もうそろそろ別居の事実を取り繕うことは難しくなるだろう。人の口に戸は立てられない。「このまま」を先送りすることはもう不可能だ。
既に事態を達観したかのように、もうけじめを付けろと母は言った。
その一方で、馬鹿なことを考えてないで、一刻も早く、達也のもとに戻らなきゃ駄目だよと、懸命に自分を諭し、訴える怜奈。
一人、街を歩く鈴。当てもなく、人込みを縫うように、鈴は歩く。するとふと、携帯が震えていることに気付く。ディスプレイを確認すると、鈴は電話に出た。
「もしもし。」
『鈴、大丈夫?全然連絡ないから、心配してたんだよ。』
梨乃からだった。
「ごめんね、いろいろあってさ。今、梨乃はどこ?」
『家だけど。』
「突然だけど、これから行ってもいい?出来たら一晩泊めて欲しい。」
『それは構わないけど・・・。』
「ありがとう。じゃ、今からそっちに向かうね。」
そう梨乃に告げると、鈴は携帯をしまった。