揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
それからの大学生活の多くの時間を鈴は、梨乃と過ごした。


自分とは対照的な、さばけた、積極的な性格の梨乃が、鈴は羨ましかったし、なにかあると、梨乃に相談することが多くなった。


そんな鈴を、少し離れたところで、心配そうに見ていたのが怜奈だった。大学が違い、かつてのようにいつも一緒にいることが出来ないのは、仕方なかったが、それにしてもたまに会ったり、LINEで連絡を取り合うと、話に必ず梨乃が出て来て、あんなことを言われた、こんな所へ一緒に行ったと嬉しそう話す姿に、不安を募らせていた。


かつての自分のポジションにいる梨乃へのジェラシーとは違う。しかし、鈴から聞く梨乃という子の言動、考え方に、自分は違和感を感じていたからだ。


ずっと似たような性格だと思って来た鈴と自分が、梨乃に対しては、全く違う思いを抱いていた。もちろん、鈴は彼女と直接付き合ってるのに対して、自分は一面識もないのだから、仕方がないとも思うけど、梨乃との交友が、鈴に何か悪い影響を与えかねないという危惧が、怜奈にはあった。


梨乃と出会って、鈴は変わった。明らかに積極的な面が出て来た。合コンでも、だんだん話せるようになって来たらしいし、サークルでも、かつてのように大人しく、誰かから話し掛けられるのを待ってるだけではなくなっているそうだ。


実際会って、話していても、なにか自信のようなものを感じるようになって来た。怜奈の心配は杞憂だったのかもしれない。


そうこうしているうちに、ついに鈴に初彼氏が出来たとの報告がもたらされた。合コンではなかったが、サークルの2年先輩からコクられて、yesと返事をしたそうだ。


しかし、3回程デートをした後は、続かなかった。


その後も、デートに誘われたり、付き合ったりということはあったが、いずれも発展はしていかない。


「なんかみんながっついてるっていうのか、グイグイ前に出過ぎて来る人ばっかりなんだよね。」


ある時、鈴はポツンとそう言った。
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