揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
「お礼?」
「はい。達也にいろいろ言って下さって・・・私達、そのお陰で、仲直り出来たようなものですから・・・。」
「あのおしゃべり、そんなことまでいちいち鈴ちゃんに話さなくていいのに・・・。」
そう言って、照れ臭そうに視線をそらす飯田に
「私、飯田さんをずっと誤解してたみたいです。ごめんなさい、そして、今までありがとうございました。」
鈴は改めて、頭を下げる。
「本当に・・・寂しくなるな。」
「・・・。」
「こんなことを言っちゃ、真純と神野に怒られるだろうけど、俺、会社ではずっと鈴ちゃんの笑顔で癒されてきたから。」
「飯田さん・・・。」
「それに営業事務の方も、鈴ちゃんの穴はデカいぜ。遠藤が抜けた時も、厳しいなと思ったけど、その時はまだ鈴ちゃんがいたから。しかし、今度はなぁ・・・、寺内には相当気合を入れ直してもらわないと。」
「そんなことありませんよ。未来なら絶対大丈夫です。」
「いやいや、寺内もその下も心もとないからなぁ。こんなことなら、真純を無理に退職させるんじゃなかった。」
「最後に惚気ですか?」
そう言って2人は笑い合う。そして表情を改めた飯田は
「鈴ちゃん。」
「はい。」
「元気でな。いつまでも神野と仲良く。そして・・・アイツを支えてやってくれ。」
と鈴を真っすぐ見て言う。
「はい。飯田さんもお身体に気を付けて。社長になられる日を楽しみにしてます。」
「それは酒の上での大言壮語だ、忘れてくれ。」
そう言って苦笑いを浮かべた飯田に、軽い会釈を残して、鈴は歩き出した。
最後の退社打刻をし、入館パスを兼ねた社員証を受付に返却して、通用口を出た鈴に
「遅い。」
と声が掛かる。見れば、ややむくれた表情の夫が。
「達也。」
「飯田と何の長話があったんだ?」
「ごめんなさい。もう待っててくれてるとは思わなくて。」
「飯田は知ってるはずだぞ。アイツ、『最後の挨拶させてもらうから』って、俺に言ってから、中に入ってたんだから。あの野郎・・・。」
「本当にごめんね。でも私達の恩人を最後に邪険に出来ないじゃない。」
「まぁ・・・な。」
それを言われるとな、達也はそんな表情になる。
「ということで、神野鈴。最終勤務をつつがなく、終了いたしました。」
自分の前に立って、そう報告した妻を
「長い間、お疲れ様でした。」
達也は笑顔でそう労うと
「帰ろう。」
と妻に左手を差し出す。
「うん。」
頷いた鈴は、その夫の手の取ると、満面の笑みで、達也に寄り添って歩き出した。
「はい。達也にいろいろ言って下さって・・・私達、そのお陰で、仲直り出来たようなものですから・・・。」
「あのおしゃべり、そんなことまでいちいち鈴ちゃんに話さなくていいのに・・・。」
そう言って、照れ臭そうに視線をそらす飯田に
「私、飯田さんをずっと誤解してたみたいです。ごめんなさい、そして、今までありがとうございました。」
鈴は改めて、頭を下げる。
「本当に・・・寂しくなるな。」
「・・・。」
「こんなことを言っちゃ、真純と神野に怒られるだろうけど、俺、会社ではずっと鈴ちゃんの笑顔で癒されてきたから。」
「飯田さん・・・。」
「それに営業事務の方も、鈴ちゃんの穴はデカいぜ。遠藤が抜けた時も、厳しいなと思ったけど、その時はまだ鈴ちゃんがいたから。しかし、今度はなぁ・・・、寺内には相当気合を入れ直してもらわないと。」
「そんなことありませんよ。未来なら絶対大丈夫です。」
「いやいや、寺内もその下も心もとないからなぁ。こんなことなら、真純を無理に退職させるんじゃなかった。」
「最後に惚気ですか?」
そう言って2人は笑い合う。そして表情を改めた飯田は
「鈴ちゃん。」
「はい。」
「元気でな。いつまでも神野と仲良く。そして・・・アイツを支えてやってくれ。」
と鈴を真っすぐ見て言う。
「はい。飯田さんもお身体に気を付けて。社長になられる日を楽しみにしてます。」
「それは酒の上での大言壮語だ、忘れてくれ。」
そう言って苦笑いを浮かべた飯田に、軽い会釈を残して、鈴は歩き出した。
最後の退社打刻をし、入館パスを兼ねた社員証を受付に返却して、通用口を出た鈴に
「遅い。」
と声が掛かる。見れば、ややむくれた表情の夫が。
「達也。」
「飯田と何の長話があったんだ?」
「ごめんなさい。もう待っててくれてるとは思わなくて。」
「飯田は知ってるはずだぞ。アイツ、『最後の挨拶させてもらうから』って、俺に言ってから、中に入ってたんだから。あの野郎・・・。」
「本当にごめんね。でも私達の恩人を最後に邪険に出来ないじゃない。」
「まぁ・・・な。」
それを言われるとな、達也はそんな表情になる。
「ということで、神野鈴。最終勤務をつつがなく、終了いたしました。」
自分の前に立って、そう報告した妻を
「長い間、お疲れ様でした。」
達也は笑顔でそう労うと
「帰ろう。」
と妻に左手を差し出す。
「うん。」
頷いた鈴は、その夫の手の取ると、満面の笑みで、達也に寄り添って歩き出した。