揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
「いやぁ、こんなに女性に囲まれた呑み会は初めてだなぁ。」
席につくと、達也がやや戸惑い気味の声を上げる。営業部組は香織以下女子4人。総務部組も今年の新入社員は女子2人だから、男子は達也1人。
「こんなに美女に囲まれて、幸せじゃないですか。」
「まさにハーレムですね。」
ひなたと香織に、からかうように言われて
「いやいや、ただただ緊張するだけです。」
と苦笑いの達也。営業部組と総務部組で相向かいで座る形になって、取り敢えずはお互いに自己紹介。
本当は達也の正面に座りたかったけど、とてもそんな勇気はなく、端の方から、鈴は達也に向かって、必死に声を出す。
「雨宮鈴です、よろしくお願いします。」
ひょっとしたら、自分の顔や鈴と言う名前に反応してくれるかもしれない。一縷の望みを持って、達也を見つめたが
「神野達也です、よろしくね。」
と言って、笑顔を見せてくれたけど、それは未来や真純に対する態度と、全く変わらなかった。
(やっぱり、私のこと、覚えてないんだ・・・。)
その現実を改めて、確認させられた形になって、鈴は落胆する。
そんな鈴の内心にお構いなく、席は盛り上がって行く。
新人女子達の賑やかなトークや遠慮のないツッコミに、達也は嫌な顔をすることなく、付き合ってくれる。
香織を含む6人の女子に対して、分け隔てない態度の達也。紳士的とも言えるし、自分達に興味があまりないからかもしれないけど
「僕に彼女がいないことより、君達の中で、彼氏がいる人が1人もいないことの方が信じられないよ。」
なんて言いながら、ニコニコしている達也。全くガツガツした様子を見せない彼に、やっぱりあの時と変わってないなと鈴は、安心する思いだった。
「今日は僕が全部出すよって言えれば、カッコいいんだろうけど、ゴメン、1人1000円ずつな。」
会計の際、申し訳なさそうにそう言った達也。
「大丈夫です、私はちゃんと出しますから。」
慌てて、そう言ってる香織の横で
『安心して。600円で、君達を釣り上げられるとは思ってないから。』
あの時の達也の言葉が、甦って来て、鈴は懐かしくて、そして甘酸っぱい思いがこみ上げて来るのを感じていた。
こうして、思わぬ形で実現した達也との再会後の初コンタクト。
そして、このあとわかった嬉しい事実。それは達也と帰りの電車が途中まで、一緒だということだった。
「今日はありがとうございました。」
「とんでもない、僕も楽しかったよ。じゃ、雨宮さん。来週からも頑張ってな。」
そう挨拶を交わして、別れた2人。
(これで、達也さんと取り敢えずは、お知り合いにはなれた。)
一歩前進・・・だよね。鈴の心は弾んでいた。
席につくと、達也がやや戸惑い気味の声を上げる。営業部組は香織以下女子4人。総務部組も今年の新入社員は女子2人だから、男子は達也1人。
「こんなに美女に囲まれて、幸せじゃないですか。」
「まさにハーレムですね。」
ひなたと香織に、からかうように言われて
「いやいや、ただただ緊張するだけです。」
と苦笑いの達也。営業部組と総務部組で相向かいで座る形になって、取り敢えずはお互いに自己紹介。
本当は達也の正面に座りたかったけど、とてもそんな勇気はなく、端の方から、鈴は達也に向かって、必死に声を出す。
「雨宮鈴です、よろしくお願いします。」
ひょっとしたら、自分の顔や鈴と言う名前に反応してくれるかもしれない。一縷の望みを持って、達也を見つめたが
「神野達也です、よろしくね。」
と言って、笑顔を見せてくれたけど、それは未来や真純に対する態度と、全く変わらなかった。
(やっぱり、私のこと、覚えてないんだ・・・。)
その現実を改めて、確認させられた形になって、鈴は落胆する。
そんな鈴の内心にお構いなく、席は盛り上がって行く。
新人女子達の賑やかなトークや遠慮のないツッコミに、達也は嫌な顔をすることなく、付き合ってくれる。
香織を含む6人の女子に対して、分け隔てない態度の達也。紳士的とも言えるし、自分達に興味があまりないからかもしれないけど
「僕に彼女がいないことより、君達の中で、彼氏がいる人が1人もいないことの方が信じられないよ。」
なんて言いながら、ニコニコしている達也。全くガツガツした様子を見せない彼に、やっぱりあの時と変わってないなと鈴は、安心する思いだった。
「今日は僕が全部出すよって言えれば、カッコいいんだろうけど、ゴメン、1人1000円ずつな。」
会計の際、申し訳なさそうにそう言った達也。
「大丈夫です、私はちゃんと出しますから。」
慌てて、そう言ってる香織の横で
『安心して。600円で、君達を釣り上げられるとは思ってないから。』
あの時の達也の言葉が、甦って来て、鈴は懐かしくて、そして甘酸っぱい思いがこみ上げて来るのを感じていた。
こうして、思わぬ形で実現した達也との再会後の初コンタクト。
そして、このあとわかった嬉しい事実。それは達也と帰りの電車が途中まで、一緒だということだった。
「今日はありがとうございました。」
「とんでもない、僕も楽しかったよ。じゃ、雨宮さん。来週からも頑張ってな。」
そう挨拶を交わして、別れた2人。
(これで、達也さんと取り敢えずは、お知り合いにはなれた。)
一歩前進・・・だよね。鈴の心は弾んでいた。