揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
新入社員達は、徐々にチームに組み込まれて行き、いつしか3ヶ月間の試用期間も過ぎ、鈴も正式採用になった。
(よし、改めて、これから頑張るぞ。)
そう気合いを入れた鈴。仕事に燃えるのは、もちろん大切なこと。しかし、もう一方の恋の方は、全く進展を見せない。
達也とは、社内で顔を合わせれば、挨拶を交わす仲にはなったが、それ以上の発展は全くない。帰りも一緒にならないし、仕事上での接触機会もなかなかない。
何回か昼休みに、社員食堂で一緒になったが、当然2人きりではなく、仕事の話や雑談の域を超えるような話題にはならない。
「えっ、まだ何もアクション起こしてないの?信じられない。」
梨乃には呆れられるが、そうは言ってもなかなかきっかけが・・・という日々。
(やっぱり、今は仕事を覚えることで精一杯だよな・・・。)
というのが、本音だった。
そうこうしているうちに、夏を迎え、秋になり、そろそろ入社から半年が経とうとする頃だった。
その日の勤務が終わり、帰宅の途に付こうとした鈴を
「お疲れ!」
と呼び止められ、鈴が振り向くと、そこには営業部の3年先輩の飯田拓巳が立っていた。
「あっ先輩、お疲れ様です。」
鈴は笑顔を向ける。飯田は営業先から戻って来たようだ。
「ああ。鈴ちゃんは帰り?」
「はい。じゃ、すみません。お先に失礼します。」
そう言って、立ち去ろうとした鈴を
「鈴ちゃん。」
と呼び止める飯田。
「はい。」
「よかったら、ちょっと待っててくれない?」
「えっ?」
「ご飯食べに行かないか?俺も帰社報告が終われば、すぐに帰れるから。」
「えっ、は、はい・・・。」
思わぬ誘いに、一瞬戸惑った鈴だが
「すみません、今日はこれからちょっと用事があるんで・・・。」
とっさに答える。
「そうか、それじゃ仕方ないな。」
と、あっさりと引いた飯田だったが
「また改めて誘うから。美味しいイタ飯屋があるんだ。鈴ちゃん、イタ飯好きだろ?」
「は、はい・・・。」
イタリアンが好きなのは事実なので、頷くしかない鈴。
「だったら是非。いいだろう?」
「・・・。」
返事に困る鈴に
「じゃ、近々ということで。お疲れさん。」
「あっ・・・。」
一方的にそう言い残すと、鈴の返事も聞かずに、飯田は歩いて行ってしまった。
(誘われちゃった・・・。)
飯田の後ろ姿を、鈴はやや呆然と見送っていた。
(よし、改めて、これから頑張るぞ。)
そう気合いを入れた鈴。仕事に燃えるのは、もちろん大切なこと。しかし、もう一方の恋の方は、全く進展を見せない。
達也とは、社内で顔を合わせれば、挨拶を交わす仲にはなったが、それ以上の発展は全くない。帰りも一緒にならないし、仕事上での接触機会もなかなかない。
何回か昼休みに、社員食堂で一緒になったが、当然2人きりではなく、仕事の話や雑談の域を超えるような話題にはならない。
「えっ、まだ何もアクション起こしてないの?信じられない。」
梨乃には呆れられるが、そうは言ってもなかなかきっかけが・・・という日々。
(やっぱり、今は仕事を覚えることで精一杯だよな・・・。)
というのが、本音だった。
そうこうしているうちに、夏を迎え、秋になり、そろそろ入社から半年が経とうとする頃だった。
その日の勤務が終わり、帰宅の途に付こうとした鈴を
「お疲れ!」
と呼び止められ、鈴が振り向くと、そこには営業部の3年先輩の飯田拓巳が立っていた。
「あっ先輩、お疲れ様です。」
鈴は笑顔を向ける。飯田は営業先から戻って来たようだ。
「ああ。鈴ちゃんは帰り?」
「はい。じゃ、すみません。お先に失礼します。」
そう言って、立ち去ろうとした鈴を
「鈴ちゃん。」
と呼び止める飯田。
「はい。」
「よかったら、ちょっと待っててくれない?」
「えっ?」
「ご飯食べに行かないか?俺も帰社報告が終われば、すぐに帰れるから。」
「えっ、は、はい・・・。」
思わぬ誘いに、一瞬戸惑った鈴だが
「すみません、今日はこれからちょっと用事があるんで・・・。」
とっさに答える。
「そうか、それじゃ仕方ないな。」
と、あっさりと引いた飯田だったが
「また改めて誘うから。美味しいイタ飯屋があるんだ。鈴ちゃん、イタ飯好きだろ?」
「は、はい・・・。」
イタリアンが好きなのは事実なので、頷くしかない鈴。
「だったら是非。いいだろう?」
「・・・。」
返事に困る鈴に
「じゃ、近々ということで。お疲れさん。」
「あっ・・・。」
一方的にそう言い残すと、鈴の返事も聞かずに、飯田は歩いて行ってしまった。
(誘われちゃった・・・。)
飯田の後ろ姿を、鈴はやや呆然と見送っていた。