揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
総務部に自分以来、3年ぶりに新入社員が配属された。
いずれも女子で、1番近い先輩として、達也は、彼女達の教育係を言い渡された。
妙な噂でも立てられても嫌だったので、とにかく平等に扱い、極力事務的に接するように努めた。それでも立場上、食事や呑みに連れて行かなくてはいけないこともあり、そういう場合は、間違っても1人だけを誘うことがないように注意していた。
そんなある日、同期との飲み会で、営業部の飯田が
「今年の新人女子の中では、ウチの雨宮鈴が断トツだな。」
と周囲と盛り上がっていた。
「雨宮は絶対に、俺が落とすからな。まぁ見てろよ。」
『将来は社長になる』と公言して憚らない自信家で、自他とも認めるイケメンの飯田は、そう宣言していた。
(フーン、雨宮さんっていう子、そんなに綺麗なんだ。ま、俺には関係ないけどな。)
この時点で、鈴を見たことがなかった達也は
(その子も鈴って言うんだ。そう言えば、鈴ちゃんも今年、就職だよな。どうしたかな・・・。)
なんてことをボンヤリ、考えたりしていた。
やがて、自分の後輩を通じて、鈴と知り合い、たまに社食で一緒に昼食を摂ったり、帰り道が途中まで一緒だったので、帰ったりしたが、当然2人きりじゃなかったし、飯田と張り合う気なんて、サラサラなかった達也は、必要以上の興味を鈴に持つことはなかった。
ところが、鈴があの「鈴ちゃん」だったという事実は、達也を驚愕させた。
(世の中、広いようで狭い。)
つくづくそう感じながら、その日、鈴といろいろなことを話した達也は、翌日、約束通り、飯田に話をしに行った。
もっとも、約束した時点では、鈴が嫌がってるから、付き纏うのは止めてやれと一言、釘を刺す程度のつもりだったのに
「俺の女に、手を出すな。」
的な流れになってしまい、正直、戸惑っていた。果たして、飯田は
「なんで、よりによってお前?」
と反発して来たが、押し問答の末、なんとか押し切った。
「達也さん、ありがとう。」
嬉しそうにお礼を言ってくる鈴。会社の中でも、当たり前のように自分を名前呼びして来た鈴に、達也は
「あ、あぁ・・・。」
照れ臭そうに笑った。
いずれも女子で、1番近い先輩として、達也は、彼女達の教育係を言い渡された。
妙な噂でも立てられても嫌だったので、とにかく平等に扱い、極力事務的に接するように努めた。それでも立場上、食事や呑みに連れて行かなくてはいけないこともあり、そういう場合は、間違っても1人だけを誘うことがないように注意していた。
そんなある日、同期との飲み会で、営業部の飯田が
「今年の新人女子の中では、ウチの雨宮鈴が断トツだな。」
と周囲と盛り上がっていた。
「雨宮は絶対に、俺が落とすからな。まぁ見てろよ。」
『将来は社長になる』と公言して憚らない自信家で、自他とも認めるイケメンの飯田は、そう宣言していた。
(フーン、雨宮さんっていう子、そんなに綺麗なんだ。ま、俺には関係ないけどな。)
この時点で、鈴を見たことがなかった達也は
(その子も鈴って言うんだ。そう言えば、鈴ちゃんも今年、就職だよな。どうしたかな・・・。)
なんてことをボンヤリ、考えたりしていた。
やがて、自分の後輩を通じて、鈴と知り合い、たまに社食で一緒に昼食を摂ったり、帰り道が途中まで一緒だったので、帰ったりしたが、当然2人きりじゃなかったし、飯田と張り合う気なんて、サラサラなかった達也は、必要以上の興味を鈴に持つことはなかった。
ところが、鈴があの「鈴ちゃん」だったという事実は、達也を驚愕させた。
(世の中、広いようで狭い。)
つくづくそう感じながら、その日、鈴といろいろなことを話した達也は、翌日、約束通り、飯田に話をしに行った。
もっとも、約束した時点では、鈴が嫌がってるから、付き纏うのは止めてやれと一言、釘を刺す程度のつもりだったのに
「俺の女に、手を出すな。」
的な流れになってしまい、正直、戸惑っていた。果たして、飯田は
「なんで、よりによってお前?」
と反発して来たが、押し問答の末、なんとか押し切った。
「達也さん、ありがとう。」
嬉しそうにお礼を言ってくる鈴。会社の中でも、当たり前のように自分を名前呼びして来た鈴に、達也は
「あ、あぁ・・・。」
照れ臭そうに笑った。