揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
「で、でも達也さん以外の人と、その・・・そんなふうになるなんて、絶対にダメだし、絶対にイヤ!」


鈴はそう言って頭を振る。


「わかった、わかった。何も達也さん以外の人としな、なんて言ってないでしょ、今は。とにかくまずは達也さんとすることが、鈴には大切な第一歩なんだから。」


「第一歩って・・・。」


言葉尻にこだわる鈴に、面倒臭いと言わんばかりに、梨乃は話を進める。


「旅行行ってきな。」


「えっ?」


「もう少しすれば、あなた達、付き合い始めてから1年でしょ?だったら、1周年だから、記念にどこか一緒に行こうって、誘えば、自然じゃない。」


「で、でも・・・。」


(旅行ってことは、一緒に泊まるってことだよね。それってつまり・・・。)


という鈴の心の中の言葉が聞こえたかのように


「そう、要はしようって、誘ってるの。でも直接そう言うより、よっぽどイメージいいでしょ?物は言いようって奴だよ。」


(そうかな?あんまり変わんないような気がするけど・・・。)


心の中で、首をひねるけど、と言って、他に名案が思い浮かぶこともなく、鈴は取り敢えず頷いた。すると


「でもさ、鈴の話を聞く限りでは、ひょっとしたら彼氏さんも、まだなんじゃないの?」


「なっ・・・。」


無遠慮にあっけらかんとそんなことを言う梨乃に、絶句する鈴。


「初めての体験が、リゾート地なんて、素敵な思い出になるよ、きっと。」


固まってる鈴にそう言うと、梨乃は励ますように笑った。
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