揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
「相変わらずパワフルだねぇ、鈴のお母さんは。鈴の彼氏さんは、鈴を口説くより、お母さん口説く方に苦労しそうだ。」


旅行中止の顛末を報告した時、梨乃はそう言って笑った。


「梨乃・・・。」


複雑そうな声を出す鈴に


「まぁ彼氏さんには頑張ってもらうしかないよ。鈴をそんな簡単に手に入れられると思ったら、大間違い。もっともっと自分を磨いてもらわなきゃ。」


と言ったあと


「いい?鈴。鈴はもう彼氏しかいないみたいに一直線になってるけど、私達はまだ24歳なんだよ。焦る必要なんか、どこにもないし、世の中は広いんだからね。男は彼氏しかいないわけじゃないし、お付き合いイコール結婚なんてことも全然ないんだから。ちゃんと彼氏を見極めないと、あとで後悔することになるよ。」


諫めるように梨乃は続けた。


「そんな、梨乃は達也さんに会ったこともないのに、そんな言い方しなくても・・・。」


「彼氏さんを否定してるわけじゃないよ。ただ、鈴が、あまりにも前のめりになり過ぎてるのが心配なだけ。鈴のお母さんも同じだと思うよ。」


「・・・。」


「とにかくさ、まだエッチもしてない相手にあんまり、のめり込み過ぎない方がいいってこと。」


「梨乃・・・。」


「鈴だって、エッチが大切なものだってわかってる。だから彼氏としたいと思ってるでしょ?」


「うん・・・でもお母さんが・・・。」


「そんなの障害にならないよ。旅行イコールエッチかもしれないけど、エッチイコール旅行じゃないでしょ?普段のデートでもエッチまで行くことなんて、いくらでも出来る。むしろそっちのパターンの方が圧倒的でしょ?」


「・・・。」


「鈴のお母さんの剣幕にビビって、鈴に手を出せないような彼氏じゃ、先が思いやられるよ。」


梨乃の言い分を、結局鈴は頷きながら、聞いていた。
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