揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
このところ、週末の達也とのデートが、飛び飛びになっている。


毎週会うのが、当たり前だったのに。理由を聞いても


「ごめんな。ちょっと今、いろいろあってさ。」


達也はすまなそうに、でもそんな曖昧な言い方をする。何があったの、と聞きたいけど、詮索することもなんとなく憚られた。


もちろん全くデートしてないわけでもなく、普段の連絡だって、ちゃんとある。会社で会っても全く普通。しかし、そんな感じでかれこれ、2ヶ月程経とうとしている。


(達也さん、何があったの?)


何かが違う。ハッキリ言えば、達也は何かを隠している、鈴はそんな気がしてならない。


(まさか岡田さんと・・・。)


そんなはずはない。岡田亜弓のことは、達也はキッパリ否定している。なのに、そんな想像をしてしまう自分が嫌なのだが、しかし不安は募る。


思い余って、梨乃に相談しても


「毎週必ずデートなんて、付き合い始めの頃ならまだしも、逆にマンネリにならない?適度な距離を保つのは、長続きの秘訣だよ。」


そうあっけらかんと言う。


「えっ、じゃ私、達也さんに飽きられちゃったってこと?」


慌てる鈴に


「どんなに美味しい料理だって、毎日食べてれば、飽きるでしょ?それとおんなじ。彼氏さんもそう思って、少しペースを下げたんだよ。あんまり気に病まない方がいいよ。だって、頻度が下がっただけで、デートそのものは、ちゃんとしてるんでしょ?」


そう言って、梨乃は笑う。


(そんな・・・私は毎週どころか、毎日だってデートしたいのに・・・。)


鈴との時間が増えて、むしろ大歓迎といった雰囲気の梨乃の前で、鈴本人は悲しい思いだった。


そうして迎えたお盆休み前のデート。鈴と達也にしては、珍しいドライブデートになったこの日。


郊外にあるシーパークで、楽しい時間を過ごした2人は、そのまま海岸線をドライブする。


夕陽が徐々に水平線に沈んで行くのを、鈴は車窓からじっと眺めていた。


「綺麗だな・・・。」


そうポツンとつぶやいた鈴に


「こういう時にドライバーは不利だよなぁ。」


と達也はぼやく。


「あっ、ごめんなさい。」


「冗談だよ。せっかくだから、しっかり堪能しといてよ。」


そう言って、達也は笑った。
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