揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
「それは、全く言い逃れの余地もない完璧な証拠だった。事実を認めた私に、次に突きつけられたのは、離婚届と手回し良く用意された弁護士の手による離婚協議書だった。君の親権はお母さん、君が20歳になるか、または大学卒業まで所定の養育費を支払うことなどがそこには書かれていた。抗弁することも出来ずに、サインした私は、そのまま家を追い出された。」
「・・・。」
「自分のしたことに弁明の余地が全くないことはわかっていたから、仕方がない。だが、養育費を支払う以上、君との面会権だけは主張したが、『養育費の支払いは父親としての、当然の義務を果たしてもらうだけ。鈴に会う資格が自分にあると思ってるの?』と突っぱねられてしまってね。何度、頼んでも答えは同じだった。それが今から1週間前、離婚してから初めてお母さんから連絡が来た。何事かと思ったら、『鈴が結婚することになったから、生物学上の父親であるあなたにも、一応報告します。』と。相変わらずの物言いだったな。」
そう言って、大輔は苦笑いを浮かべた。
「お父さんは、もうお母さんを愛してなかったの?」
そう問うた鈴の言葉に、父は頷いた。
「彼女と彼女との結婚生活には、絶望していた。」
その父の言葉に、鈴は愕然とする。
「君のお母さんとは、大学時代のゼミで知り合ってね。当時、私達は20歳だった。それから5年付き合って、結婚した。付き合っていた当時は、私に甘えて来ることもあったが、結婚してから、あの人は変わった。何よりも仕事が優先、自分のキャリアを積み上げ、会社でのポジションを上げることが全てに優先するようになった。彼女の豹変に、私は付いて行けなかった。いや、恐らくは私が彼女の本質に気が付かないまま、結婚してしまったんだろうな。」
「・・・。」
「やがて君が産まれて、少しは家庭、家族に目を向けるようになるかと思ったが、全くだった。いや、育児や家事を全く放棄していたわけじゃない。だが、その負担は明らかに私の方に重かった。」
それは鈴も感じていた。鈴がパパっ子になるのは、ある意味自然な流れだった。
「しかし、それが私にとって負担や不満だったわけでもない。君の成長を見守る日々は、楽しかったからね。だが、お母さんはそれをどれだけ感じていたのかな?そう思わざるを得ない日々だった。」
そう言って、大輔はため息をついた。
「・・・。」
「自分のしたことに弁明の余地が全くないことはわかっていたから、仕方がない。だが、養育費を支払う以上、君との面会権だけは主張したが、『養育費の支払いは父親としての、当然の義務を果たしてもらうだけ。鈴に会う資格が自分にあると思ってるの?』と突っぱねられてしまってね。何度、頼んでも答えは同じだった。それが今から1週間前、離婚してから初めてお母さんから連絡が来た。何事かと思ったら、『鈴が結婚することになったから、生物学上の父親であるあなたにも、一応報告します。』と。相変わらずの物言いだったな。」
そう言って、大輔は苦笑いを浮かべた。
「お父さんは、もうお母さんを愛してなかったの?」
そう問うた鈴の言葉に、父は頷いた。
「彼女と彼女との結婚生活には、絶望していた。」
その父の言葉に、鈴は愕然とする。
「君のお母さんとは、大学時代のゼミで知り合ってね。当時、私達は20歳だった。それから5年付き合って、結婚した。付き合っていた当時は、私に甘えて来ることもあったが、結婚してから、あの人は変わった。何よりも仕事が優先、自分のキャリアを積み上げ、会社でのポジションを上げることが全てに優先するようになった。彼女の豹変に、私は付いて行けなかった。いや、恐らくは私が彼女の本質に気が付かないまま、結婚してしまったんだろうな。」
「・・・。」
「やがて君が産まれて、少しは家庭、家族に目を向けるようになるかと思ったが、全くだった。いや、育児や家事を全く放棄していたわけじゃない。だが、その負担は明らかに私の方に重かった。」
それは鈴も感じていた。鈴がパパっ子になるのは、ある意味自然な流れだった。
「しかし、それが私にとって負担や不満だったわけでもない。君の成長を見守る日々は、楽しかったからね。だが、お母さんはそれをどれだけ感じていたのかな?そう思わざるを得ない日々だった。」
そう言って、大輔はため息をついた。