揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
それから、鈴の生活はだいぶ落ち着いたが、それでも帰りは達也の方が早い場合が多かった。
そんなある日。いつものように、2人で夕食を食べ終わったあと、珍しく深刻そうな表情をした鈴が
「達也、ちょっとお話しがあるんだけど、いい?」
と切り出した。
「どうした、何かあった?」
訝しそうに、そう聞き返した達也に
「私、仕事、辞めようかと思って。」
と答える鈴。
「えっ、急になに言い出すんだよ?」
驚く達也に
「だって・・・あの無茶苦茶忙しい時期は過ぎたけど、相変わらずあなたより帰りが遅い日が多いし。あなたにばっかり家事の負担を押し付けちゃってる。それになんか、私達すれ違いが多いような気がして。」
と鈴は不満そうに答える。
「そんなことないよ。確かに夕飯は俺が作ることが多いけど、後片付けは君がやってくれてるし、土日は一緒にいるじゃないか。」
「それはそうだけど、でも家のことが溜まってたり、私が疲れちゃってて、あんまり一緒に出掛けたりも出来ないじゃん。それに、なかなか赤ちゃんも出来ないし。」
「鈴・・・。」
「やっぱり、女が仕事してると、赤ちゃん出来にくいって聞くし。私達より、後に結婚したのに、真純は既にママになってるし、香織さんなんて、もう2人目だよ。」
鈴の同期の望月真純は、2人より1年ほど遅れて飯田と結婚して、寿退社したが、半年前に出産した。またかつての先輩である遠藤香織も、結婚を期に家庭に入ったが、2人の子供に恵まれ、夫の実家の病院の事務を手伝いながら、多忙な日々を送っている。
「私も出来たら、20代の内にママになりたい。だとしたら、もう時間がないし。」
幸せな日々を送る2人だが、まだ子宝に恵まれていないのが、悩みの種ではあり、また28歳になった鈴が、20代の内にお母さんになるには、確かに時間は切迫している。
「でも怜奈ちゃんは、仕事続けてるけど、子供出来たし、ウチの会社にだって、産休取ってる人、何人もいるじゃないか。そんなのは俗説だし、こればかりは授かりものだから、焦ったって、しかたないよ。」
これに対して、達也が鈴をなだめるように言う。鈴の高校時代からの親友、綾瀬怜奈は結婚後も仕事を続けているが、現在は産休中だ。
「それに、鈴のキャリアを今、ここで捨てるのは勿体ないし、お義母さんだって、きっと喜ばないよ。」
「母は関係ないでしょ?これは私の人生なんだから!」
達也の言葉に、鈴が語気鋭く、言い返す。珍しく、重苦しい空気が2人を包んだ。
そんなある日。いつものように、2人で夕食を食べ終わったあと、珍しく深刻そうな表情をした鈴が
「達也、ちょっとお話しがあるんだけど、いい?」
と切り出した。
「どうした、何かあった?」
訝しそうに、そう聞き返した達也に
「私、仕事、辞めようかと思って。」
と答える鈴。
「えっ、急になに言い出すんだよ?」
驚く達也に
「だって・・・あの無茶苦茶忙しい時期は過ぎたけど、相変わらずあなたより帰りが遅い日が多いし。あなたにばっかり家事の負担を押し付けちゃってる。それになんか、私達すれ違いが多いような気がして。」
と鈴は不満そうに答える。
「そんなことないよ。確かに夕飯は俺が作ることが多いけど、後片付けは君がやってくれてるし、土日は一緒にいるじゃないか。」
「それはそうだけど、でも家のことが溜まってたり、私が疲れちゃってて、あんまり一緒に出掛けたりも出来ないじゃん。それに、なかなか赤ちゃんも出来ないし。」
「鈴・・・。」
「やっぱり、女が仕事してると、赤ちゃん出来にくいって聞くし。私達より、後に結婚したのに、真純は既にママになってるし、香織さんなんて、もう2人目だよ。」
鈴の同期の望月真純は、2人より1年ほど遅れて飯田と結婚して、寿退社したが、半年前に出産した。またかつての先輩である遠藤香織も、結婚を期に家庭に入ったが、2人の子供に恵まれ、夫の実家の病院の事務を手伝いながら、多忙な日々を送っている。
「私も出来たら、20代の内にママになりたい。だとしたら、もう時間がないし。」
幸せな日々を送る2人だが、まだ子宝に恵まれていないのが、悩みの種ではあり、また28歳になった鈴が、20代の内にお母さんになるには、確かに時間は切迫している。
「でも怜奈ちゃんは、仕事続けてるけど、子供出来たし、ウチの会社にだって、産休取ってる人、何人もいるじゃないか。そんなのは俗説だし、こればかりは授かりものだから、焦ったって、しかたないよ。」
これに対して、達也が鈴をなだめるように言う。鈴の高校時代からの親友、綾瀬怜奈は結婚後も仕事を続けているが、現在は産休中だ。
「それに、鈴のキャリアを今、ここで捨てるのは勿体ないし、お義母さんだって、きっと喜ばないよ。」
「母は関係ないでしょ?これは私の人生なんだから!」
達也の言葉に、鈴が語気鋭く、言い返す。珍しく、重苦しい空気が2人を包んだ。