揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
どう考えても、おかしい。
たまりかねて、会社での様子はどうなんだろうと、同期生で達也の部下である上本ひなたに探りを入れてみるが
「神野係長はいつもより、ちょっとため息が多いかなって思うけど、まぁいつも通り、仕事に誠心誠意取り組んでるよ。どうしたの、旦那さんの仕事場での様子を気にするなんて、珍しいじゃない。なんかあったの?」
と逆に探りを入れられる始末。
「ううん、なんでもないよ。最近ちょっと疲れ気味に見えたからさ。」
慌てて誤魔化すと、話題を変えた。
そして、金曜日がやって来た。明日が休みになる今夜なら・・・内心期待していた鈴の希望を打ち砕くように
『今日、雅紀と呑むことになってさ。帰り遅くなると思うから、よろしくな。』
昼休みにこんなLINEが達也から入って来た。
(雅紀さんとなんて、珍しいな・・・。)
と思ったが、当然ダメとも言えず
『了解しました。』
と返信する。
そして、その夜。達也の帰りは珍しく終電。しかもベロベロに酔っ払っていた。
「お〜、愛しの鈴ちゃん。お出迎え、ありがとう。達也、ただいま帰宅しましたぁ。」
「ちょ、ちょっと。周りに迷惑だから、玄関で、あんまり大きな声を出さないでよ。」
鈴はそう言いながら、夫の身体を支える。
「雅紀と久しぶりに会って、盛り上がっちゃってさ。飲み過ぎちゃったよ。鈴、ゴメンな〜。」
とやたらハイテンションな達也は、食卓に着くと、水を一杯、鈴に頼んで、それを飲み干すと
「じゃ、おやすみ〜。」
と言い残して、ヨロヨロと寝室に向かって歩き出した。お風呂はどうするのと、聞こうとして、聞くだけ無駄だと思い直した鈴は、その後ろ姿を見送った。
(達也・・・。)
こんな泥酔して、帰って来た達也はあまり記憶にない。本当にどうしたのだろう、達也に何があったのだろう。居ても立っても居られないような気持ちに包まれていた鈴の目に、達也の携帯が映る。置き忘れて行ったようだ。いや、普段から携帯に無頓着の達也には、珍しいことではない。
鈴も気にしたことはなかった。しかし、今、鈴の視線はそこに釘付けになっていた。目を逸らそうとしても、ダメだった。
(いけない、ダメだよ。いくら夫婦でも、それはルール違反だよ。絶対ダメだよ、鈴。)
そう自分に言い聞かせようとしても、やっぱりダメだった。逡巡の末、鈴はついにその携帯を手に取った。ロックは・・・掛かっていない。
(達也、ごめんなさい。)
そして、鈴は禁断の行動に移った。それから何分経ったのだろう。
(知ってたんだ・・・。)
全ての答えが、そこにはあった。鈴は達也の携帯を握り締めたまま、呆然と立ち尽くしていた。
たまりかねて、会社での様子はどうなんだろうと、同期生で達也の部下である上本ひなたに探りを入れてみるが
「神野係長はいつもより、ちょっとため息が多いかなって思うけど、まぁいつも通り、仕事に誠心誠意取り組んでるよ。どうしたの、旦那さんの仕事場での様子を気にするなんて、珍しいじゃない。なんかあったの?」
と逆に探りを入れられる始末。
「ううん、なんでもないよ。最近ちょっと疲れ気味に見えたからさ。」
慌てて誤魔化すと、話題を変えた。
そして、金曜日がやって来た。明日が休みになる今夜なら・・・内心期待していた鈴の希望を打ち砕くように
『今日、雅紀と呑むことになってさ。帰り遅くなると思うから、よろしくな。』
昼休みにこんなLINEが達也から入って来た。
(雅紀さんとなんて、珍しいな・・・。)
と思ったが、当然ダメとも言えず
『了解しました。』
と返信する。
そして、その夜。達也の帰りは珍しく終電。しかもベロベロに酔っ払っていた。
「お〜、愛しの鈴ちゃん。お出迎え、ありがとう。達也、ただいま帰宅しましたぁ。」
「ちょ、ちょっと。周りに迷惑だから、玄関で、あんまり大きな声を出さないでよ。」
鈴はそう言いながら、夫の身体を支える。
「雅紀と久しぶりに会って、盛り上がっちゃってさ。飲み過ぎちゃったよ。鈴、ゴメンな〜。」
とやたらハイテンションな達也は、食卓に着くと、水を一杯、鈴に頼んで、それを飲み干すと
「じゃ、おやすみ〜。」
と言い残して、ヨロヨロと寝室に向かって歩き出した。お風呂はどうするのと、聞こうとして、聞くだけ無駄だと思い直した鈴は、その後ろ姿を見送った。
(達也・・・。)
こんな泥酔して、帰って来た達也はあまり記憶にない。本当にどうしたのだろう、達也に何があったのだろう。居ても立っても居られないような気持ちに包まれていた鈴の目に、達也の携帯が映る。置き忘れて行ったようだ。いや、普段から携帯に無頓着の達也には、珍しいことではない。
鈴も気にしたことはなかった。しかし、今、鈴の視線はそこに釘付けになっていた。目を逸らそうとしても、ダメだった。
(いけない、ダメだよ。いくら夫婦でも、それはルール違反だよ。絶対ダメだよ、鈴。)
そう自分に言い聞かせようとしても、やっぱりダメだった。逡巡の末、鈴はついにその携帯を手に取った。ロックは・・・掛かっていない。
(達也、ごめんなさい。)
そして、鈴は禁断の行動に移った。それから何分経ったのだろう。
(知ってたんだ・・・。)
全ての答えが、そこにはあった。鈴は達也の携帯を握り締めたまま、呆然と立ち尽くしていた。