揺れる想い〜その愛は、ホンモノですか?〜
翌日、2人はいつも通りに、一緒に会社へ。
「じゃあね。」
「ああ。」
笑顔を交わし合って、それぞれの部署に向かう。しかし、鈴と別れた途端、達也の表情は固くなる。
一夜明け、冷静になってみれば、このままでいいはずがないことを認識せざるを得ない。
昨日の妻は、本当にいつもと変わらぬ妻だった。先に帰って、家事をこなし、帰って来た自分に甘え、自分と身体を重ねることを厭う様子も全く見せなかった。
だが、その妻が自分に嘘を付き、男と密会していることは事実。それも恐らくは複数回に渡ってだ。
なぜ、そのようなことをしているのか、今のところ、その理由はわからない。しかし、そのことが自分達の結婚生活にプラスに働くとは、到底思えない。
妻は、密会の事実に、自分が気付いてるとは、思っていないだろう。残念ながら、このままなら、また会うに違いない。
どこからが浮気なのか、なんてアンケートをネットなどで見かける。男女や年代、個人によって、線引きの基準は様々だが
「パートナー以外の異性との一対一の会食はアウト」
との意見は、男女問わず、やはり多い。達也も正直、同意見だ。
(やはり、鈴にキチンと問いただす必要がある。)
放置すれば、将来に禍根を残すことは、間違いない。それは、容易に想像出来る。
だが・・・その問いに対する妻の返答を聞くのが怖い。それを問いただした結果、もう後戻りすることが出来なくなる。そんな未来が到来するかもしれない。
「知らぬが仏。」
この言葉の奥深さが、今更ながら身にしみる。そう、何も知らなければ、今の苦しみはない。
(雅紀は余計なことを・・・。)
そんな思いも湧き上がって来る。しかし「知らぬが仏」が、結果として、事態を好転させることは、多分・・・ない。それも達也はわかっている。
こうして、達也は悶々とした数日を過ごしていた。
(俺という男は、どこまでヘタれなんだ。)
さすがに自分で自分が嫌になって来ていた、そんな時だった。
「お風呂、入ってくるね。」
鈴は達也にそう告げて、ダイニングを出た。
「ああ。」
そう返事をした達也の目に、テーブルに置かれた妻の携帯が飛び込んできた。今までは、気にもしたことない、いつもの光景。
しかし次の瞬間、達也は夢中で、それを手にしていた。鈴はいわゆる女の長風呂だ、10分や20分では絶対に出て来ない。その携帯を開くことに、もはや躊躇はなかった。
そして・・・そこには、目も眩むばかりの、妻の赤裸々な本音が詰まっていた。もう見るには忍びない、そう思っても、スクロールする手は止まらなかった。
「パートナーの携帯を見て、幸せになることはない。」
誰が言ったか知らないが、その言葉に嘘はなかった・・・やがて携帯をテーブルに戻した達也は、呆然と立ち尽くしていた。
「じゃあね。」
「ああ。」
笑顔を交わし合って、それぞれの部署に向かう。しかし、鈴と別れた途端、達也の表情は固くなる。
一夜明け、冷静になってみれば、このままでいいはずがないことを認識せざるを得ない。
昨日の妻は、本当にいつもと変わらぬ妻だった。先に帰って、家事をこなし、帰って来た自分に甘え、自分と身体を重ねることを厭う様子も全く見せなかった。
だが、その妻が自分に嘘を付き、男と密会していることは事実。それも恐らくは複数回に渡ってだ。
なぜ、そのようなことをしているのか、今のところ、その理由はわからない。しかし、そのことが自分達の結婚生活にプラスに働くとは、到底思えない。
妻は、密会の事実に、自分が気付いてるとは、思っていないだろう。残念ながら、このままなら、また会うに違いない。
どこからが浮気なのか、なんてアンケートをネットなどで見かける。男女や年代、個人によって、線引きの基準は様々だが
「パートナー以外の異性との一対一の会食はアウト」
との意見は、男女問わず、やはり多い。達也も正直、同意見だ。
(やはり、鈴にキチンと問いただす必要がある。)
放置すれば、将来に禍根を残すことは、間違いない。それは、容易に想像出来る。
だが・・・その問いに対する妻の返答を聞くのが怖い。それを問いただした結果、もう後戻りすることが出来なくなる。そんな未来が到来するかもしれない。
「知らぬが仏。」
この言葉の奥深さが、今更ながら身にしみる。そう、何も知らなければ、今の苦しみはない。
(雅紀は余計なことを・・・。)
そんな思いも湧き上がって来る。しかし「知らぬが仏」が、結果として、事態を好転させることは、多分・・・ない。それも達也はわかっている。
こうして、達也は悶々とした数日を過ごしていた。
(俺という男は、どこまでヘタれなんだ。)
さすがに自分で自分が嫌になって来ていた、そんな時だった。
「お風呂、入ってくるね。」
鈴は達也にそう告げて、ダイニングを出た。
「ああ。」
そう返事をした達也の目に、テーブルに置かれた妻の携帯が飛び込んできた。今までは、気にもしたことない、いつもの光景。
しかし次の瞬間、達也は夢中で、それを手にしていた。鈴はいわゆる女の長風呂だ、10分や20分では絶対に出て来ない。その携帯を開くことに、もはや躊躇はなかった。
そして・・・そこには、目も眩むばかりの、妻の赤裸々な本音が詰まっていた。もう見るには忍びない、そう思っても、スクロールする手は止まらなかった。
「パートナーの携帯を見て、幸せになることはない。」
誰が言ったか知らないが、その言葉に嘘はなかった・・・やがて携帯をテーブルに戻した達也は、呆然と立ち尽くしていた。