檸檬の約束ー淋しがりの君へー
「ありがとう、綾人。」

眠ってしまった咲紗を抱いた莢は久しぶりに笑顔を見せてくれた。

「どういたしまして。」

「いつも私は綾人に助けられてばかりだね。」

せっかくの笑顔が曇る前に、僕は魔法をかける。

「パンプキンチーズケーキ食べれる?」

スイーツに目がない莢にデザートは別腹。

「わぁ、手作り?」

「そうだよ。頑張ったから、ご褒美。」

「嬉しいな。」

「莢は。一人じゃ何も出来ない訳じゃないよ。ちゃんと頑張れる。」

「そう、かな。」

少し照れた様子の莢が可愛い。

家についてぐっすり眠ったままの咲紗をベッドに寝かせてから、キッチンで二人でささやかにハロウィンパーティーの終了を祝った。

「綾人のケーキは絶品だね。・・・これ持っていけば良かったかな?」

「だめだよ。」

少し語気を強めて言ってしまったから、莢が誤解してしまわないように言葉を選んだ。

「莢の為に作ったから」

言葉を遮ったのは莢からの甘い悪戯。

「大好き。」

久しぶりのキスと愛の言葉。
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