眠れない夜をかぞえて
予期せぬ告白
「ベッドタイムストーリー」の舞台稽古は進んでいるのに、宣伝用のポスター撮りが進んでいない。
「モデルが決まってやっと動き出すわよ」
「カメラマンの写真選考でしょ?」
「そうよ、ポスターが出来なくちゃ宣伝も出来やしないし」
モデルのスケジュールを瑞穂が組んでいるのだが、なかなか決まらないために、頭を抱えていたのだ。
舞台スケジュールは、千秋楽までびっしりと決まっていて、大きく壁に貼られていた。
そのスケジュールを見ながら瑞穂は、押しているスケジュールを眺めた。
通常は出演者がポスターも撮るのだが、舞台公演日程を載せたポスターに役者の顔出しポスターを作り、舞台のコピーとタイトルだけのポスターと、モデルを起用して撮る二種をつくることになった。
絵コンテは出来上がっていて、カメラマンは唐沢浩一。
年齢は50代後半だったはずで、被写体の魅力を引き出すのがうまいカメラマンとのことで、一ノ瀬さんの一押しで依頼をした。
私には写真芸術のことは分からないけれど、とても有名なカメラマンらしい。
唐沢浩一の写真選考後、実際にスタジオでカメラテストが行われ、モデルが決まる。
事務所所属のモデルで選考されたが、唐沢浩一は難色を示していた。
しかし、一転して所属モデル起用を了承した。この業界お得意の忖度があったに違いない。
それでも成功させたいという思いが、そうさせたのだろう。
「川奈に桜庭、ちょっといいか?」
スケジュールを見ていた私たちに一ノ瀬さんがデスクに呼ぶ。
デスク前に瑞穂と並ぶ。
「この間の件もあり、所属タレントの契約書の追記することになった。タレント分全てだから相当な量になるが、よろしく頼む。それと、コンプライアンス講習の予定を組んだ。講習の日程が決まっているから、スケジュールが空いているタレントを日程通りに組んで欲しい。あ、定数が決まっているからそこは注意して」
「はい」
「えっと……後は何だったかな……あ、そうそう、緊急の重役会議が今日の午後にある。悪いが、お茶と菓子の用意をお願いする。少し長くなりそうだから、たまにお茶の入れ替えもお願い出来るか?」
「わかりました」
「以上だ、あ、資料だ、会議の資料をコピー、よろしく」
デスクに瑞穂と戻ると、私は一ノ瀬さんが心配になった。
「モデルが決まってやっと動き出すわよ」
「カメラマンの写真選考でしょ?」
「そうよ、ポスターが出来なくちゃ宣伝も出来やしないし」
モデルのスケジュールを瑞穂が組んでいるのだが、なかなか決まらないために、頭を抱えていたのだ。
舞台スケジュールは、千秋楽までびっしりと決まっていて、大きく壁に貼られていた。
そのスケジュールを見ながら瑞穂は、押しているスケジュールを眺めた。
通常は出演者がポスターも撮るのだが、舞台公演日程を載せたポスターに役者の顔出しポスターを作り、舞台のコピーとタイトルだけのポスターと、モデルを起用して撮る二種をつくることになった。
絵コンテは出来上がっていて、カメラマンは唐沢浩一。
年齢は50代後半だったはずで、被写体の魅力を引き出すのがうまいカメラマンとのことで、一ノ瀬さんの一押しで依頼をした。
私には写真芸術のことは分からないけれど、とても有名なカメラマンらしい。
唐沢浩一の写真選考後、実際にスタジオでカメラテストが行われ、モデルが決まる。
事務所所属のモデルで選考されたが、唐沢浩一は難色を示していた。
しかし、一転して所属モデル起用を了承した。この業界お得意の忖度があったに違いない。
それでも成功させたいという思いが、そうさせたのだろう。
「川奈に桜庭、ちょっといいか?」
スケジュールを見ていた私たちに一ノ瀬さんがデスクに呼ぶ。
デスク前に瑞穂と並ぶ。
「この間の件もあり、所属タレントの契約書の追記することになった。タレント分全てだから相当な量になるが、よろしく頼む。それと、コンプライアンス講習の予定を組んだ。講習の日程が決まっているから、スケジュールが空いているタレントを日程通りに組んで欲しい。あ、定数が決まっているからそこは注意して」
「はい」
「えっと……後は何だったかな……あ、そうそう、緊急の重役会議が今日の午後にある。悪いが、お茶と菓子の用意をお願いする。少し長くなりそうだから、たまにお茶の入れ替えもお願い出来るか?」
「わかりました」
「以上だ、あ、資料だ、会議の資料をコピー、よろしく」
デスクに瑞穂と戻ると、私は一ノ瀬さんが心配になった。