眠れない夜をかぞえて
「若狭あゆみだけど、現場復帰に一か月は必要らしいわ」
瑞穂が言った。
「結局何が原因?」
「凄く勉強家で、努力をする子らしいの。食レポがあまりうまくないと自分で思っていたらしくて、時間があると、いろいろな料理を作っては練習をしていたらしいの。今回は鶏肉を使ったらしいんだけど、どうやら中まで火が通ってなかったらしいわ」
「かわいそうに」
「鶏肉は火加減が難しいからね」
「本人もショックだったでしょうね」
「マネージャーによると、皆に迷惑をかけてしまって申し訳ないって泣いているらしいわ。引退したいとまで言って落ち込んでるって」
「引退って……そこまで思いつめなくても。原因が遊びじゃなくて、仕事の幅を広げるために勉強していた結果なんだから」
「まじめなのね、だから仕事が舞い込んでくるんだわ」
「ほんとね」
すっかりおばさんのようにうなずく二人。顔を見合わせて思わず笑ってしまった。思ったことは同じだったようだ。
「ねえ、今週のどこかで夜に時間取れる?」
「私の用事はないけど、仕事がどうだろう。ここのところトラブル続きだから」
「そうか……あ、じゃあ、週末」
「週末? 週末はデートじゃないの?」
毎週末はデートで仕事はしたくないが瑞穂の口癖だ。私よりも弟である彼氏を優先しているのに珍しい。
「いいの。時間と場所は後でね」
「分かった」
静かな時はのんびりとしているのに、問題がおこると立て続けに起こる。分散できないものか。
「しーちゃん、ちょっと」
「は~い」
夏休みで海に行ったという彼女は、真っ黒に日焼けをしていた。美人さんなのに、日焼を気にしない所も、男らしくて何だか素敵だ。
瑞穂が言った。
「結局何が原因?」
「凄く勉強家で、努力をする子らしいの。食レポがあまりうまくないと自分で思っていたらしくて、時間があると、いろいろな料理を作っては練習をしていたらしいの。今回は鶏肉を使ったらしいんだけど、どうやら中まで火が通ってなかったらしいわ」
「かわいそうに」
「鶏肉は火加減が難しいからね」
「本人もショックだったでしょうね」
「マネージャーによると、皆に迷惑をかけてしまって申し訳ないって泣いているらしいわ。引退したいとまで言って落ち込んでるって」
「引退って……そこまで思いつめなくても。原因が遊びじゃなくて、仕事の幅を広げるために勉強していた結果なんだから」
「まじめなのね、だから仕事が舞い込んでくるんだわ」
「ほんとね」
すっかりおばさんのようにうなずく二人。顔を見合わせて思わず笑ってしまった。思ったことは同じだったようだ。
「ねえ、今週のどこかで夜に時間取れる?」
「私の用事はないけど、仕事がどうだろう。ここのところトラブル続きだから」
「そうか……あ、じゃあ、週末」
「週末? 週末はデートじゃないの?」
毎週末はデートで仕事はしたくないが瑞穂の口癖だ。私よりも弟である彼氏を優先しているのに珍しい。
「いいの。時間と場所は後でね」
「分かった」
静かな時はのんびりとしているのに、問題がおこると立て続けに起こる。分散できないものか。
「しーちゃん、ちょっと」
「は~い」
夏休みで海に行ったという彼女は、真っ黒に日焼けをしていた。美人さんなのに、日焼を気にしない所も、男らしくて何だか素敵だ。