俺様アイドルが私の家に居座っている。
家に着いてすぐに彼をシャワールームに入れる。
明かりに照らされた彼の顔を見て、私は思わず息を呑んだ。
彼は美しかった。
真っ白な肌は荒れひとつない。
すっと通った鼻筋に無駄のないフェイスライン。
切れ長の目に鋭さがないのは熱のせいだろうか。
薄めの唇も真っ青になっていて、
男性らしいがっしりとした体も今は震えている。
なんて、考えている場合じゃなかった。
慌てて我に返る。
「ごめんなさい、お風呂、すぐ沸かしますからとりあえずお湯で体暖めて、
で、着替えがないので買ってきます、サイズ教えてください」
「……L」
「了解です」
彼がシャワーを浴びはじめたのを確認し、私も体を拭いて着替える。
靴を履いて扉を開けかけたとき、ふと思った。
なんでこんなに尽くしてるんだ、自分。
家空けて大丈夫なのか。
……ここまできたら今更かなあ。
今更だ。
取っ手を勢いよく引いて、
未だ雨が降る外へ飛び出した。