君に、この石言葉を

Amethyst & Ruby

世界的にも有名な名家であるクラーク家の家で私はメイドとして働いています。日々、ご主人様や奥様、そしてご子息の方々が暮らしやすいようにするのが私の務めです。

「失礼いたします。紅茶をお持ちしました」

「ありがとう、ウェンディ」

黒く膝下まであるメイド服のスカートを揺らぎながら、今日も一日を終える。明日は休日。新しいお洋服でも買いに行こうかしら？

お風呂に入り、もう寝ようかと明かりを消そうとした時、コンコンコンとドアがノックされる。ノックをされた刹那、私の胸は高鳴ってしまう。だって、こんな時間に部屋を訪ねてくる人なんて一人しかいない。

「ウェンディ、起きてるか？」

そう言い部屋に入って来たのは、この家のご子息であるレオン様。金髪の長い髪を緩く束ね、私たち使用人が着るものよりずっと高価な生地でできたパジャマを着ている。

「レオン様、まだ起きております」

私は声を小さくして言う。こんなところを誰かに見つかったらまずい。私とレオン様は誰にも知られてはならない関係なのだから。