君に、この石言葉を
またキスをしようとするレオンに私が慌てて言うと、私の手に王子が姫君にするように口付けながらレオン様は言う。

「俺はバレても構わない。それでお前と幸せになれるなら」

「ただのメイドとレオン様の関係が認められるはずがありません。気付かれてはいけないのです」

抱き付いてくるレオン様の背中を優しくさすりながら私は言う。本当はこの関係を話せたら嬉しい。でも、彼の隣に立つべきは由緒ある家のお嬢様と誰もが思っている。彼を守るためにも、それはできない。

しばらく抱き締めあった後、レオン様は私の手を引いてベッドに座る。ギシリとベッドは音を立てた。こんなボロボロの部屋に毎回来てもらっていて申し訳なさを感じてしまう。

「来週、何があるかは知っているな?」

レオン様に訊かれ、私はすぐに「レオン様の二十歳のお誕生日ですね」と答えた。レオン様は「そうだ」と私の頭を撫でる。

「誕生日のプレゼントは、好きな人から一番にもらいたい」
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