【短】キミの髪を、ほどきたかった。
なに?……じゃないでしょ、何よこれ。
「ん……っ」
こそばゆい感覚に、肩がピクンッと跳ねる。
「へぇ……感じるんだ」
「ちがっ……てゆーか何して……」
彼を責めたいはずなのに……
―――伝馬って、こんな艶っぽい声してたっけ。
雑念が邪魔をする。
静まり返った教室が、余計にそれを加速させる。
横では、クスッと笑う伝馬。
まるで責めあぐねた私の心を、読んだように。
「……っ」
だからと言って、手を止めてくれるはずもなく。
彼の"甲"は、ゆっくりと首筋へ。
どうしよう……脈が、バレる。
「伝馬……ッ」
私は咄嗟に、声を絞り出した。
「……なに?」
それが功を奏したのか、ピタッと手が止まる。
「伝馬は……どこに、行くの」
「進路?」
「う、うん……」
あぁ、どうして。
あんたはそんなに淡々としていられるのか。
きっと、他の女子にも……そう、誰かれ構わず"している"んだ。