【短】キミの髪を、ほどきたかった。
「千歳?どうかした?」
「あっ、ううん。ごめん、なんだっけ」
「クラスの女子みんなで写真撮ろうってさ。ね、行こっ」
「うん」
幸に手を引かれて、呆けた私は歩き出す。
なんだかみんな、目が赤い。
……私も、だけど。
「はい、並んで並んでー」
ネイビーのリボンを整えながら、位置に着く。
当たり前のように、幸の隣。
「ねぇ、千歳」
「ん?」
「これ終わった後さ、ちょっと残っててくれる?」
「……え?」
周りがお祭りテンションの中、こっそり耳打ちする幸。
「教室。残っててね、絶対だよ」
なんだろう……。
首を傾げながらも、私は頷いた。
「行くよー、はいっ。イチたすイチはぁ?」
「「ニィーっ」」
そして、頬を緩める。
周りの男子と談笑する、"彼"の姿を垣間見ながら。