【短】キミの髪を、ほどきたかった。
「言ったじゃん。"俺も行くから"って」
「え……?」
「キャンパスの場所。よく見てみ」
言われた通り、目を凝らす。
場所……?
「みなとみらい……キャンパス」
「そう」
「ってことは、私と同じ……」
「そう」
神奈川、じゃん。
心の内で呟いたそれに気づいたのか、彼は目を細める。
「驚いた?」
心底嬉しそうに、首を傾げながら。
「……うん」
「独りぼっちじゃないだろ。これで」
もしかして、昨日のこと……。
私は彼と同じかそれ以上に、頬を赤く染める。
瞬間、頭上に大きな手が乗せられた。
伝馬の体温……あったかい。
「俺がいるから」
「……っ」
「たまには、会いに行っていい?」
それは、学校に?
それとも……一人暮らしの私の部屋に……?
裏に込められた意味を探りながら、鼓動が加速する。