地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
日常
春から夏へと変わり始めた朝の日差しがカーテンの隙間から差し込み、玲奈は目を覚ました。
「……ん」
ゆっくり寝返りを打ち目をこすると「コンコン」と寝室のドアを優しくたたく音が聞こえ、それから一呼吸おいて落ち着きのある低音ボイスが、ドアの外から聞こえてきた。
「お嬢様。おはようございます。朝食の準備が整いました」
「わかったわ、すぐに行く」
ベッドからゆっくり起き上がると、カーテンを開けて仕事に行く準備を始める。
今日もとてもいい天気。
仕事日和だわ。
くるりと振り返り、窓とは反対側にある洗面台へと向かった。まずは顔を洗い化粧水をつけ化粧を施すが、つけるのは日焼け止めとファンデーションのみ。髪は一つにまとめてお団子に引っ詰め、前髪が目にかかるように整えると、大きな黒縁めがねをかける。着る物は黒か紺のスーツ
これで地味OLの出来上がり。
時間にして10分、普通のOLならばもう少し化粧や支度に時間をかけるべきところなのだろう。
しかし私、一条玲奈(いちじょうれいな)26歳の朝はいつもこんな感じだ。
そんな玲奈には秘密がある。それは玲奈がただの地味OLではなく、実は祖父の代から続く貿易会社、一条グループの娘であるということ。
一条グループは世界のトップグループだ。日本の経済を動かしていると言っても過言ではない。
そんな超お嬢様なのに玲奈はあまりパーティーなどには出席しない。
そのためか社交界で、まことしやかに噂されていることがある。一条グループの娘は容姿端麗で頭脳明晰、非の打ち所のないお嬢様だと……。
実際玲奈は綺麗に着飾り、外に出れば男性のみならず、女性も振り返るほどの美女なのだが、本人に自覚がなかった。
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