地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
青春……。
若いなー。
くすりと笑った玲奈を見た涼は、楽しそうに笑いながら玲奈の手を引っ張った。
「行きましょう」
玲奈は学生にまざりながら、子供のように遊んだ。
「きゃーー」
汗だくになってボールを追いかけた火照った体に、冷たい水がかかると気持ちが良い。
楽しい。
こんなに楽しいこと最近あったっけ?
玲奈たちは、一頻り遊ぶと涼が声を上げた。
「お前らあんまし騒ぐと近所迷惑だし、そろそろ帰るぞ」
その通りだ。年長者の私が声をかけるべきなのに、恥ずかしい。玲奈は恥ずかしさにうつむきながら眼鏡についた水滴をハンカチで拭いていると、学生たちから不満の声が漏れる。
「えーー。もうちょっと遊びたかったなーー」
「じゃあ最後だ!!」
バッサーーンっと水が降ってきた。
「やり過ぎーー」
ケタケタと笑う学生たち
玲奈はあまりの水の量に尻餅をついた。
「きゃーー」
その拍子に髪を留めていたゴムが切れ腰まである長い髪がパサリと揺れた。玲奈は水か滴り落ちる髪を前から後ろへと掻き上げた。
今まで笑いの絶えなかった公園がシーンと静まり返っり、みんなが玲奈を凝視していた。我に返った一人の学生がぽつりと呟いた。
「うわっーー。お姉さん……エロッ……」
へっ……。
水も滴る……とはよく言った物である。髪を掻き上げた玲奈から大人の色香が漂っていた。
金縛りにでもあったように動けずにいた涼は我に返ると玲奈の肩をつかみ、くるりと学生たちとは反対を向かせた。
「じゃあ俺たち帰るから」
涼は学生たちに軽く手を上げるとその場をあとにした。
ベンチまでやってくると、そこに置いてあったジャケットを玲奈の肩にかけ前のボタン部分を持ったまま動かない涼。
えっと……。
「山口くん。そろそろ帰ろうか?」
そっと涼の顔を覗き込む。
「……っ。嫌だ」
「えっ……」
「帰したくない。俺と一緒にいて、一条さん……玲奈……」
ドキンっと心臓が跳ねる。
ジャケットを握り締めていた涼の手が離れると、腕が後ろへと伸ばされた。
何?
どうなっているの?
抱きしめられてる?
涼の腕の中でもがいてみるが、びくともしない。
自分の顔が熱く赤くなっていくのがわかる。
「山口くん……離っ……離して」
腕の力を少し緩めた涼は玲奈の顔を見て、ぷっと吹き出した。
えっ……からかわれてる?
「玲奈、顔真っ赤。美人だと思ってたけど、かわいい……離したくない」
「何言ってるの、離しなさい呼び捨てもやめなさい」
「嫌だって言ってるじゃん」
「あなたはかわいい後輩」
「そんなの嫌だ。今から俺のこと一人の男として見て!!」