地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
佐藤萌





昼休みが残すところ後10分になった頃。

「明日の金曜日ー飲みに行きませんかー?」

甘ったるい声がフロアーに響いた。

その声の持ち主は……佐藤萌。男性社員たちに声をかけながら出欠席を取り、玲奈の方へとやって来た。

「そのー、良かったら一条さんも来ませんかー?」

明らかについでといった様子で尋ねてくる萌に玲奈はパソコンを開きながら答えた。

「明日は予定があるの」

「えーー。それって大切な用事ですかーー?」

いちいち語尾が伸びる甘ったるい声。

めんどくさい。

予定があると言っているのに……。

地味女には予定が入ってないとでも思っているのか?

「ごめんなさいね」

玲奈は短い返事で済ませた。

玲奈のそんな素っ気ない態度に萌はイラッとした。

ほんとは予定なんか入ってないくせに、見栄張っちゃって……ふふふ。

そうだーー。

萌は口角を上げ、ニヤリと笑った。

「その予定ってーー男の人とですかーー?もしかしてーー彼氏さん?っていうかーー、一条さんてーー彼氏いるんですかーー?」

明らかにバカにしている。

はーー。

無視していたい所だが言われっぱなしでは腹が立つ。

「彼氏はいませんが、婚約者ならいますよ」

「えっ……えーーーー」

「「「えーーーー」」」

萌の他に、聞き耳を立てていた回りの社員たちからも、驚きの叫び声がフロアーに響き、両手をグッと握りしめ悔しそうに顔を歪める萌の姿があった。




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