地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
時刻は十八時仕事が片づいたため、残っている社員たちに「お疲れ様」と声をかけ、エレベーターの一階ボタンを押した。
一階のエントランスに出ると、仕事終わりの人達が出口へと吸い込まれるように出て行く。
玲奈も出口へと向かう人々の波に乗り外へ出た。
外へ出てすぐに右手首を誰かにつかまれ顔を上げると、そこには息を切らせた涼の姿があった。
「一条さんちょっと……」
涼は足早に玲奈をオフィスビルの裏側へと連れてきた。今は十八時を過ぎているため人は誰もいない、この場所は、昼間でも人が来ることはあまりない場所。
玲奈の手首を離した涼は眉を寄せ、明らかに不機嫌な顔をしている。
「一条さん……。玲奈……」
近づいてくる涼から逃げるため、オフィスビルの壁側によると「ドン」と涼が両手を壁につけた。涼の両手が自分の両肩の横にあるため逃げることができない。
壁ドン
「……山口くん……どうしたの?」
「どうしたのって……どういうことですか?婚約者って……それって,この間の人ですか?」
この間の人って……?
加藤のことかしら?
「違うはわ、あの人じゃない」
「……婚約は本当の話なんですか?」
「ええ、そうよ。親が決めた人で、もう二年会ってないけど……」