地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
再会
***
昨夜は優人のことを思い出していたせいか、大学時代の嫌な夢を見てしまった。
眠りから覚めた玲奈の瞳からポロポロと涙が溢れ、こぼれ落ちた。
優人さんからの帰国の報告を受けた日からずっと夢見が悪い。
仕事をしていても全く集中出来ずボーッとしてしまう。
今朝の夢のせいでもあるが……。
問題はもう一つ。
今日優人さんが帰ってくる。
はーー。
憂鬱な気分を拭いきれないまま昼休みを過ごしていると、甘ったるい声の萌が近づいてくる。
「ところでーー。一条さんの婚約者さんてーー、どんな人なんですかーー?」
「どんなって……」
「えーー。だって気になるじゃないですかーー。二年合ってないんですよねーー?」
ニヤリと口角を上げる萌。
口元に人差し指を当て、首をかしげるポーズにあざとさを感じる。
「二年合ってないって大丈夫なんですかーー?それってーー、他に彼女ができたとかーー?」
聞き耳を立てていた女性社員達もクスクスと笑い出す。
はぁーー。
面倒くさい。
子供のいじめね。
玲奈は背筋を伸ばし萌と目を合わせると、大人の対応をしてみせる。
「あの人、今日アメリカから帰ってくるのよ。空港まで迎えに行くの。さあ、もういい?休み時間は終わるわよ。仕事を始めましょう」
玲奈の声に皆が仕事に取りかかった。
それから数時間後。
仕事が終わる時刻になり、また甘ったるい声が聞こえてきた。
「あっ、一条さん!!これから婚約者さんのお迎えに行くんですかーー?飛行機何時に着くんですかーー?」
「えっと……十九時だったと思うけど……」
「へぇーー。頑張ってくださいねー」
何か嫌な感じがしたが、時間が無いため急いで会社を後にした。
玲奈が帰ったのを確認すると萌は何人かの女性社員を集め始めた。
「ねぇーー。みんな、一条さんの婚約者気にならない?」
「そりゃーー気になるけど……」
「今から見に行ってみない?」
「「「えーーーー」」」
「私はパス」
「私は行こうかな」
行くと言った女性社員数人を連れて萌は空港へと向かった。