地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
空港のターミナルに着くと、キャリーバッグを引く沢山の人々が行き来する姿が目に入る。玲奈は背筋を伸ばし令嬢らしい凛とした所作で一歩一歩前へと進んでいく。
そんな玲奈の姿を見た人達は、男女問わず振り返る。
「うっわーー。すっげーー美人」
「わーー。女優さんかな?」
「スタイルいい。モデルさんじゃない?」
ターミナル内はいつでもザワついているが、玲奈がいることで更に回りがザワついていた。しかし、それは玲奈の耳に届いていなかった。
優人さんもうすぐ帰ってくる……。
なんて声をかければ良い?
私はちゃんと笑える?
グッと両手を握りしめた時、匠がそっと大きな手で包み込んでくれた。
「大丈夫です。私がそばにいます。ダメなら私の所まで逃げてきて下さい。その時は……」
玲奈を見つめる優しい瞳に胸が締め付けられ顔が熱くなっていく。
「匠……」
玲奈が小さな声で匠の名前を呟いた時、ロビーのザワつきが大きくなった。到着ロビーにアメリカから帰国した人達が次々に出てきたのだ。
その中に一人、スラリと背が高くブランド物のスーツを着こなす整った顔、周りには無いオーラを出す人物の姿があった。
優人さん……。
優人は玲奈の姿を見つけると二年前より落ち着いた印象はあるが、昔と何も変わらない爽やかな笑顔を向けてきた。
「やあ、元気だったかい玲奈……。会いたかったよ」
そう言って手を差し伸ばしてくれる姿は昔も今も変わらない。
王子様……。
私の大好きな青空の王子様。
玲奈はボーッと頬を染め優人を見つめていた。
「キャーー!!あの人誰かっこいい!!」
「俳優さんかな?イケメン!!」
優人を見た女性たちが悲鳴のような叫び声を上げている。その声にハッと我に返った玲奈はやっと声を出すことができた。
「優人さんお帰りなさい」
「ただいま」
玲奈の手を握りチュッと額にキスを落とすと回りから、キャーーと悲鳴が上がった。