地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
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「玲奈さん、玲奈さん大丈夫ですか?」
玲奈は会社の自分のパソコンの前でボーッと画面を見つめていた。そこへ心配した萌が声をかけてきたのだった。
萌はあのパーティー以来、玲奈のことを玲奈さんと呼ぶようになった。先輩として認められたのか、少しくすぐったく思う。
そこへ眉間にしわ寄せ涼がやって来た。
「つーか、お前なんで一条さんのこと玲奈さんて呼んでんだよ。俺も玲奈さんて呼びたい」
「何でっていいじゃない。山口は玲奈さんて呼んじゃダメーー」
「はぁー。何でお前が決めるんだよ。俺だって玲奈さんて呼びたい」
子供みたいに言い合いを続ける二人。
二人を見ていると安心するわ。
ふふふ……
笑顔になった玲奈を見て二人は顔を見合わせると顔を赤く染めていく。
「もう!!山口のせいで玲奈さんに笑われたじゃない!!」
「それはこっちの台詞だ!!」
二人のおかげで頭がすっきりして仕事モードへと頭が切り替わっていく。
「さあ!!二人とも、そろそろ時間よ」
「「はい!!」」
今日は私達が企画していたマンションの完成発表会が行われる。私達三人はマンションへと急いだ。現場に着くと自分たち以外には誰もいない。
良かった一番に到着できたようね。
玲奈、萌、涼の三人は三十階建てのマンションを見上げていたその時、マンションの完成発表会の関係者が集まりだした。優人も到着し、玲奈達は挨拶をしながら時間まで待つよう説明をして回った。
時計を確認し優人は集まった人達にを挨拶を始めた。
「今日はお集まりいただき、ありがとうございます……」
優人は一通りの挨拶を済ませると、玲奈に視線を向け、後は頼んだよと口パクで話かけた後、話を振ってきた。
「一条くん皆さんに説明を初めてくれるかな?」
「はい。かしこまりました。では皆さん中へどうぞ」
玲奈は関係者の皆さんをマンションの中へと案内し、説明を開始した。
「こちらのマンションは三十階建てで、十階ごとにコンセプトを変えています。まずは一階から十階までがファミリー向けモダンです。シンプルで洗練された近代的なスタイルです。ファミリー向けと言うことで、我が社の雑貨もお子様でも使いやすい物を使用しています。お子様の成長と共にサイズを変えることが出来る物にいたしました。」
「ほーう。いいですね」
重役達から良い反応が聞こえてくる。うんうんと頷いている人達の様子を見て玲奈は胸をなで下ろした。
「それでは次へと参ります。続きまして、十一階から二十階までは女性向けエレガントです。優雅で上品な家具を使用しています。こちらのマンションはすべての部屋に防犯システムをしっかり備え付けておりますが、十一階から二十階までは更に防犯セキュリティー対策を強化しています」
「なるほど、うちの娘にも良さそうですな」
「そして最後に二十一階から三十階です。こちらは男性向けスタイリッシュです。家具や雑貨はハイセンスでスマートな物を使用しました。黒を基調とし、スッキリと収納が出来るような工夫が施されています」
「おお、こちらも良いですね」
「私がもう少し若かったら買っていますな。ハッハッハッ」
重役達や関係者達の好反応に優人も満足した様子で玲奈に向け、片目をつぶって合図を送ってくる。
ウッ………ウインク!!
仕事に集中していたはずの玲奈だったが、バーでの夜のことを思い出してしまった。思い出してしまうと唇の感触まで鮮烈に思い出してしまい、カーッと顔に熱から上がってきてしまう。
ダメダメ。仕事に集中しないと。
今は仕事中なのよ。
ぱっと隣を見ると萌の瞳がハートになっていて、ポワーンと意識が飛んでいた。
そんな萌を見ていると玲奈は冷静になり仕事に集中することが出来た。
佐藤さんが隣にいたことを神様に感謝するわ。
冷静さを取り戻した玲奈は、集まった関係者の皆さんに頭を下げた。
「それでは皆さん本日はありがとうございました。明日はマンションの完成のレセプションパーティーです。そちらの方も、よろしくお願いします」
大きな拍手に包まれ、マンションの完成発表会は締めくくられた。
完成発表会が無事に終わり外に出ると、ビルとビルの隙間から青い空が現れ、玲奈は清々しい気持ちで四角い空を眺めていた。