地味OLの憂鬱~私は仕事に生きたいのに、三人からのアプローチにタジタジです!!
玲奈はエレベーターに駆け込むと加藤に電話をかけ、すぐに迎えに来てほしいとお願いした。
加藤は玲奈のただならぬ様子に驚き、いつものカフェ前に止めていた車をオフィス前のエントランスに車を移動させ横付けすると、エントランスから飛び出してきた玲奈を抱きとめた。
「玲奈様大丈夫ですか?」
青白い顔をした玲奈をすぐに車に乗せると一条家へと車を走らせた。
車の窓から流れる景色をぼんやりと眺めながら、頭の中を整理しようとしても、かえって錯綜し混乱するばかりだった。
何があったのか聞いてこない加藤の態度にホッとしつつ、自分一人でこの気持ちを抱えていることもできず加藤に聞いてほしいという衝動に駆られる。
こういう時に親友と呼ばれる人がそばにいたら良いのに、っと思いながら胸元をギュッと握り絞めた。
自宅に着くとリビングにはよらずに、自室へと直行した玲奈はベッドへ倒れ込んだ。
どういうことなの?
優人さんが私を好き?
私はお飾り本妻になるんじゃないの?
はてなが頭の中に浮かぶばかりで何も解決していかない。
はぁーー。
大きくため息をついたとき、入り口のドアがノックされ、加藤の声が廊下から聞こえてきた。
「玲奈様、紅茶をご用意いたしましたが、お召し上がりになりますか?」
ただならぬ様子を見せた玲奈を気遣い、紅茶を用意してくれたに違いない。加藤のその気持ちをありがたく受け取ることにした。
「ありがとう。いただくわ」
玲奈がドアに向かってそう答えると、ワゴンに紅茶のセットと軽食をのせた加藤が部屋の中に入ってきた。
ベッドの隣にある机の上に手早く紅茶と軽食を並べていく。
紅茶をカップに注ぐとカップの上に湯気が立ち上がり、それと共に良い香りが鼻に抜けていく。良い香りを嗅いでいるだけで、肩から力が抜けていった。
紅茶を一口含み「ほーっ」と安堵のため息をついたとき、匠が玲奈の顔をのぞき込んできた。
「少しは落ち着きましたか?」
コクリと頷いた玲奈に匠も安堵した。しかし、何もしゃべろうとしない玲奈にそっと近づくと両手で玲奈の手を握りしめた。
「玲奈様、何があったのか話して下さいますか?」
「・・・・」
玲奈は少しの間黙っていたが、何があったのかをポツリポツリと話し出し、加藤は玲奈の話を目を丸くして聞いていた。
「そうでしたか。私も玲奈様が好きなのですが……これ以上混乱させるのは……」
ボソボソとしゃっべている匠の声は、今にも頭の中がパンクしそうな玲奈の耳には届いていなかった。
「それで……玲奈様のお心は何処のあるのですか?相手がどう思っているかではなく、玲奈様の心の中にいらっしゃる方はどなたですか?」
「・・・・」
私の心の中にいる人……。
最初に思い描くのは
優人さん
私の心の中にはいつも優人さんがいる。