【完結】午前2時の殺人事件
第2章
「……全員死んだなんて、おかしいです」
「どういうことだ?」
「……わたしの父は、警察官なんです。当時、この事件の捜査にあたっていました」
「えっ!?」
「おい。本当かそれ?」
「間違いありません。父が言っていました。この集団自殺で、唯一ひとりだけ生き残った人がいると……」
「まじかよ……」
大河内すみれの言葉に、みんな絶句した。
言葉が出なくなり、沈黙が続いた。
「なぁ、生き残った人って、その後どうなったんだ?」
そう問いかけたのは、大谷瞬だ。
「……父が言うには、その後はもう10年くらいずっと植物状態だそうです。脳に大きくダメージを受けて麻痺が残ったため、目が覚めたとしても、体は麻痺がしているので、手足だけでなく、体全体的が動かないそうです」
「……その人の、名前は分かるか?」
「たしか……野上早智子(のがみさちこ)って人だったと思います」
大河内すみれがその言葉を、発した瞬間に……。
とある一人の表情が変わったのを、大河内すみれは、見逃さなかった。