【完結】午前2時の殺人事件



「でも警察は、自殺だって判断した」

「そうだ。当時は最新の技術なんてないから、薬物が投与されたとしてもそれを調べるのができなかった。だから他殺を立証できず、結局は集団自殺扱いになった」

「……ひどい話だね。被害者が、加害者になっちゃったんだ」

「……大河内の親父が調べていたしても、きっと他殺だとは見抜けなかったんだな」

「……だから島本さんは、大河内さんを……」

「じゃあ島本は誰が殺したんだよ?」

「……分からない」

「そもそも、このふたりだけ関係者だった。お互い面識がなくても、関係者だったからこそ、許せない人物がいたんだろうな」

「……許せない、人物が」

「……早くここから出たい」

「それはみんな同じだ。おまえだけじゃない」

「……分かってます」




しばらくの話し合いの後、沈黙が続いた。

みんなうつむいて喋らなくなった。



考えることはひとつ。

ここから出ること。



しかし、謎が解けたのか分からないまま時間だけが過ぎていく。






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