【完結】午前2時の殺人事件
最終章
「殴られたって………誰にですか?」
「………わからない。後ろからだったし、かおは見てないんだ………っ、いて………」
「………大丈夫ですか?痛みますよね?」
「………くっそ………証拠を、奪われた………」
「証拠?なんの証拠ですか?」
「………犯人だよ………犯人の、証拠………」
「………やっぱり」
「やっぱりって?」
「あの後、その証拠がなくなっていることに、わたしも気づいたの………」
「それ、本当ですか?」
「………はい。確かにあったものが、なかったんです。そこに」
「じゃあ、犯人がやっぱり………持ち去った?」
「それしか考えられません」
「………犯人って、誰なの?」
「ーーーーー」
平林繭香が、中原葵に耳打ちする。
そしてその顔は、驚きを隠せない顔をしていた。
「………それ、本当ですか?」
「間違いないと思います」
「………そんな、どうして………」
中原葵の顔が、沈んでいるのがわかった。