ミライデザイン
「俺にとっては必然なんだよね、沙祈と結婚すること」
一音一句、しっかりと聞いてくれた猫目が、真剣な顔で、私の瞳をみつめてくる。
「…私のキモチに関係なく?」
「それも含めて、必然」
「…どういうこと?」
棗がなにを考えているのか、全然わからない。
結婚に背をむけてる私のキモチは、どう繋いだって、棗のいう必然には結びつかないのに。
短時間で頭をフル回転させた分、眉間にシワがよっただけ。棗の思考にはたどりつけなくて。
しわ、よってる。
と、女と比べてあつい棗の指に、眉間をおされた。
「…なんていうか。沙祈はさ、結婚自体がイヤなんじゃなくて、結婚でキモチが変わるのがイヤなんだろ」
「……!」
結婚でキモチが変わるのが、イヤ。
自ら口にするのと、棗の口から聞くのとでは、まるで重みが違う。
息をすって止まった私の心を見透かすように、ふっと笑う棗。
「なら、なにも問題ない。
結婚ひとつで変わんないから」
いたずらに口角があがる、自信たっぷりなこの笑顔を、純粋に受け止められる私でいたかった。