ミライデザイン
誰もいない休日のオフィスで、懸命に理性を引っ張り出して。
反対に、期待した朝のあまいひとときを、出さずに胸にしまった。
「んー。むり。一旦充電させて」
なのに、棗は、ふらりとタスクを乗り越えて、背後にまわってくると、いとも簡単に私を抱きしめる。
首すじにかかる吐息は、眠い分、あつくて。
その熱で、私のにおいを確かめられると、…もう。
「…ビクッとするなよ」
「だって、棗が」
体をよじって目と目が合うと、休日とはいえ、会社内だということを忘れそう。
私たちは、1つなんだと。
錯覚してしまいそうな感覚に、気づいたときには、棗の感触に唇をついばまれていて、夢見心地な猫目にとかされてしまう。
「…これは、沙祈の責任」
そんな私を知って、愉しげにあがる口角に、私はよわい。
もう一度と近づいてくる甘えん坊な熱を、拒めるはずなんてなかった。