ミライデザイン
訪れたのは、お魚が美味しいと有名な和食居酒屋。
居酒屋と言っても騒々しい雰囲気は全くなく、私が周りを気にせず話せるよう、わざわざ個室まで用意してくれた。
仕事であれば私が手配することを、橘社長にしてもらうのは、何だか落ち着かない。
「すみません。私も棗も、仕事にプライベートを持ち込むつもりはなかったんですが…できてなかったですね」
今更になって申し訳ないというか…
何やってるんだろう感が襲ってきて、丸ごと飲み込むようにビールを流し込んだ。
「社会人としても、人事としても反省だね」
「ですね。猛省します」
「ふ、そこまでは言ってないけど。
…でも、猛省よりも根本的な問題をクリアしないと、かな」
会社では見せない悪戯な顔で指摘をした橘社長は、猛省するといった私に表情を崩したかと思えば、今度は真剣な瞳を向けた。
「……根本的な問題」
「…沙祈くん、仕事の決断は早いのにね。
葉奈くんと話して、すべきことは見えてきたと思うけど?」