ミライデザイン
あ、起こしちゃったかな。
暗闇の中で猫目と視線が合わさって、申し訳ないなと口を開きかけた頃には、よく知る体温に捕まえられていた。
強引そうにみえて、ふわりとやさしく。
そんな風に、抱きしめてくれるひと。
眠くなってしまいそうなほど、心地よい温もりも。
静けさの中で聞こえる吐息も。
とくとくと、棗の命を刻む音も。
ひとつひとつが、私と溶け合っていくような。
この感覚が、とても好きで。
それは、付き合いが3年半経ったって色褪せないどころか、深みを増して、私にこの上ない安らぎをくれる。
「……めっちゃいいにおい」
「棗と同じ匂いだよ」
「んーん、沙祈のにおい」
風呂上がりの匂いのことかと答えると、違うという棗。
ベッドの中で夢見心地にすり寄ってくる棗が、私を感じるように吸い込むから、なんだかくすぐったい。
思わず反応してしまう私に、眠たくてしょうがないくせに、それでも目線を合わせてキスを落としてくる棗が、愛おしくってたまらなくなる。
半分夢の中にいるキスは、とてもゆっくりで、やさしく。いつまでも、重ねていられる気がした。