ミライデザイン
「ほら、北斗さんとかコロッといっちゃいそうだし?」
「待って待って、何そのイメージ。
やっぱ俺って軽くみえる?意外と一途なのに」
「えー?大丈夫?禁断の恋とかしてない?」
「葉奈ちゃん、そんなに俺に興味湧いちゃった?」
「北斗さんに、というか、北斗さんの恋愛に?かな」
「なんだそれ」
会話に花を咲かせている葉奈と北斗さんを横目に。
棗に同棲を始めてみることを提案したあの日。
七星さんと飲んでいた2人の姿を思い出す。
棗は、仕事だって言っていたし、そのこと自体はもう信じているけれど。
仕事で組むようになってからまだ数ヶ月だというのに、随分とお互いのことを良くわかっているみたいだった。
……もし、七星さんが棗を好きで、キモチを抑えきれなくなって、迫ったとしたら、どうなっちゃうんだろう。
万が一のことを想像すると、もう夏もすぐ傍まできているというのに、寒気がした。
「それはそうと、沙祈ちゃん?
顔色わるすぎるけど、思い当たる節でもあったとか?」
「え?」
「……ほんとだ」
心配そうに私の瞳の中まで見つめてくる葉奈と、七星さんと同じカオをした北斗さんの、鋭い表情に胸がザワザワする。
打ち明けてしまいたいけれど、言えない。
言えるわけがない。
北斗さんにとって七星さんは、自分の片割れのように大切な、ふたごのお姉さんなんだから。