ミライデザイン
どうして、こういうプランにしたのか。
北斗さんをはじめ、葉奈と一樹さん。
そして何故だか橘社長までいて、モヤモヤとした気持ちが生まれてしまう。
せめて、葉奈と一樹さんだけだったら、Wデートだと思って楽しめたのに。
「いやさ、最初は葉奈ちゃん達とのWデートがいいんじゃないかと思ってたんだけど、玲央にバレちゃってさ。玲央がいるなら俺もいた方がいいかなって。
ほら、見張り役的な?」
「北斗に見張られなくても、変なことはしないよ。
棗くんが、沙祈ちゃんを捕まえてさえいればね」
数週間前に、橘社長から居酒屋でもらった言葉に対して、まだ答えを返していない現実が、私と橘社長の間にはあって。
あの日から今日までの間、仕事の忙しさにかまけて伝えてこなかった私のことも、伝えようとしている答えのことも、橘社長は、十分にわかっているはず。
同棲を始めた私達のことだって、知っていることは間違えないのに。それでも、追求することなく、責めることもしない。
始めて会った時と変わらない、太陽のような笑顔を向けられて、胸がちくっとした。
『沙祈くんが、私を選べば、望む関係をあげられる。
……どちらがいいか、よく考えてみてほしい』
実際のところ、ホントウにくれた想いだったのか、時間を置いた今もまだ、わからないけど。
もしも、ホントウにそう想ってくれていたのだとしたら、答えを返していないままの私だと、橘社長を前にして、棗の横で、素直に笑えない。
恋人としての私でいる資格なんて、ない。