ミライデザイン

「なんで…？」


理解できずに驚きの声をあげた私に、棗はもう一度、結婚といった。

聞こえなかった訳じゃなく、棗がその言葉を口にしたことが、信じられなかっただけなのに。


「なんで…って。付き合いも長いし、ほぼ半同棲だし、社内公認だし。その方がなにかと都合いいだろ」


まだ少し機嫌が悪そうに首に手を当てている棗は、私の気持ちなんてお構いなしなの？



「…なにそれ。ちゃんと考えて」

「ちゃんと考えてるから、結婚しようって言ってんだけど」


「考えてない。わかってないよ！
私は、棗とずっと恋人同士でいたいの。結婚なんてしたくないの」



一般論には当てはまらない、私のズレた結婚論。


それでも棗は、私のことをちゃんと理解してくれてるって思ってた。

付き合う前と、付き合ってから。確かに数回話しただけだったけど、棗なら。



「…変わんない、なにも。関係の呼び名が変わるくらいだろ」


…なんて、根拠のない自信。