ミライデザイン





今更ながらに思えばあれは、仕事の顔で。


ホントウにくれた想いだったのかと、ずっと疑問が消えなかった理由が、ようやく分かる。



単純に、好きな訳じゃなかっただけ。





そもそも初めて、橘社長が自分のことを“私“ではなく“俺”と言ったのを聞いた。



社長といえど、プライベートから“私“と話す訳じゃないんだなんて、すごくしょうもないことを思いながらも、




「…どうして?」




わざわざ、好きでもないのに、私に告白まがいなことをした理由が分からない。



北斗さんだって、七星さんと橘社長のことを知っているなら、私が所々で相談している時に教えてくれればいいのに。



それをしてくれなかったのは、どうしてなんだろう。





「あー、私、分かっちゃったかも?
多分、あってると思う」




愉しげに、答えをもったいぶる3人に頭が混乱しかけた頃、一樹さんの隣で、葉奈が笑った。



その場にいる全員の視線が集まることを待ってから、続けて口を開く。





「意味わかんない理屈並べてないで、はやく結婚しちゃわないと、ぽっと出の誰かにもってかれちゃうから、とっとと結婚しろ大作戦、みたいな感じでしょ?」





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