ミライデザイン
「葉奈ちゃん正解。
こう言うのは第三者の方が、客観的にみれるから分かるよね」
北斗さんお得意の指パチンで、過去から現実に呼び戻される。
これまでの裏事情を理解はできたけど、感謝すべきなのか、怒った方がいいのか、何だかもうよくわからない。
「まぁでも、なつめんの事故は想定外だったけどね」
「ホント。動物助けるなんて、伊吹って実はいいやつだったのね」
「おい。つか、余計なお世話だっつの。玲央も、社長の癖にこいつらふたごの遊びに乗っかってんじゃねーよ」
「んー?だって、ねぇ?」
さすがに棗の事故までは、想定されたものではなくて安心したけれど。
棗の指摘に対して、意味深に微笑む橘社長に、ふと、浮かぶ疑問。
「そういえば、私が結婚渋ってるって、橘社長はもちろん、七星さんや北斗さんに話してましたっけ?」
振り返ってみても、そこが腑に落ちない。
確かに、北斗さんと話すようになってから、時々相談することはあったけど、その時にはすでに、3人の作戦は動いていた。
七星さんと棗の距離が近づいて、危機感が生まれてからの、相談。
つまり、作戦に乗せられての相談になる。
てことは橘社長から?なんて考えてみたけれど、それも噛み合わない気がする……
私が結婚を渋っていることを知らない限り、一連の作戦は浮かばないはずなんだけど。
ニヤニヤと笑うだけで、一向に答えをくれない3人を前に、考えすぎて頭だけが痛くなっていく。
行き詰まった頃合いを見計らったかのように、また、病室の扉が開いた。
「私が、お願いしたんだよ」