ミライデザイン
「なつめん的には早く結婚して安心したかったのに、沙祈ちゃんは結婚のこと毛嫌いしてたからね。
なつめんの焦るキモチ、俺はわかるよ?」
「北斗の共感は求めてない」
どこか納得のいかないような顔で、注意されるようなことはしてないと、主張している棗の頬に手を伸ばして、指先に力を込めた。
「……っ、いって」
夫婦になるからこそ、手加減はしちゃダメだと思った。
社内恋愛をしてるからって。
夫婦になるからって。
仕事を、軽くみてると捉えられたくなかった。
だって私は、棗の仕事に対する姿勢を知ってる。
「棗はその辺、わかってると思ってた!
異動願いが出るほどなんて、どれだけオーラに出してたの。仕事には持ち込まないが、社内恋愛の鉄則でしょ?」
言いながら、ここ最近の自分を振り返って、私自身も、棗とさほど変わらないのではと、頭をよぎったけれど。
もう、引けなかくて。
自分の心にも刻む。
夫婦として働いていく為に必要な配慮やルールを、頭の中でいくつか箇条書きに並べていると、似つかわしくない、笑い声交じりの言葉。
「こらこら、七星に北斗。
さすがに調子に乗ってからかいすぎじゃないかい?」