ミライデザイン
素直なキモチを口に出すことは、やっぱり照れ臭くて、恥ずかしくて、勇気がいる。
伝え終わったあと、へらっと笑ってみせた私を映す、濁りひとつない真っ直ぐな瞳はゆらりと揺れて、棗は下を向く。
ぎゅうっと、強く握られた右手から、棗のキモチが覗いた気がした。
「…俺は、俺だけの力で、沙祈に結婚したいって言わせたかった。そうやって積み重ねてきた3年半を、横取りされた気分」
躊躇いながらも、伝えてくれたコト。
伝えるまでに時間がかかったということは、棗の中で、言うべきではないと思っていたのかも知れない。
それでも打ち明けてくれた本音は、ただ、愛おしくて。
「きっかけは策略だったのかもしれないけど、結婚したいと思わせたのは、間違いなく棗自身だよ」
同じように私も、真っ直ぐでいたいと思う。
だいすきな猫目を縁取るまつ毛1本1本さえ、愛おしく思う瞳の、その奥の奥まで届くように。
「……忘れないで?棗だけなんだから。
世界中で、鉄のように頑固な私を、突き動かせるヒトは」