ミライデザイン
気持ちを大切に大切に、言葉にのせると、自然と表情にも伝わっていく気がした。
空気がこもらないようにと、わずかに開けていた窓の隙間から、日が落ちていくことを感じさせるような、冷んやりとした風が入ってきて。
「……っ」
そのことに気づくより早く、衝動的な腕に腰を引き寄せられて、ふれた、高まった棗の体温。
心臓が、どくどくと命を刻んでいることも、棗が深く呼吸をして、私を感じていることも、わかってしまう。
「棗、まって、腕。
そんなに強くぎゅってしたら、右腕に響いちゃう」
心配する私をよそに、ゆるむことのない棗の腕。
負担が掛からないかと気が気じゃなくて、体をよじることで、棗との間に隙間をつくろうとする私を、片手で器用にコントロールしたかと思えば、頬を包み込む。
「好きになったのが、沙祈でよかった」
「……っ」
放たれた言葉に、心がふるえた。
棗がそのヒトコトを口にした理由を考えて、少しは、私の想いが、棗の心を軽くできたのかもしれないと思ったときには、涙がじんわりと浮かぶような感覚があって。
そんな私に、やわらかく目を細めた棗。
近づいてくる顔を意識すると同時に、ふたつの唇が重なっていた。
丁寧に、やさしく合わさって、ひとつの熱になっていく心地よさ。
溶けるようなやわらかさは、たしかな愛であふれてる。