ミライデザイン
……唇がゆっくりと離れていく1秒1秒さえ、ひだまりが広がっていくように愛おしく感じるこの想いは、なんて名前をつけたらいいんだろう。
見つめ合う瞳の中には、お互いがいて。
世界にふたりだけ、なんて、非現実的なことさえ、真面目に思ってしまいそうになる。
「……私も、棗じゃなきゃイヤだったよ」
少し前にもらった想いに対して、私の想いをささやくと、うれしそうに上がった棗の口角。
誘われるように、棗の吐息が近づいてきて。
唇に感じる息づかいが、くすぐったい。
ふたたび唇と唇が重なる前に、小さく、聞こえたコト。
まるで、私の中に落とすように。
たしかに、アイシテルと、言った。