ミライデザイン




……唇がゆっくりと離れていく1秒1秒さえ、ひだまりが広がっていくように愛おしく感じるこの想いは、なんて名前をつけたらいいんだろう。




見つめ合う瞳の中には、お互いがいて。


世界にふたりだけ、なんて、非現実的なことさえ、真面目に思ってしまいそうになる。





「……私も、棗じゃなきゃイヤだったよ」




少し前にもらった想いに対して、私の想いをささやくと、うれしそうに上がった棗の口角。



誘われるように、棗の吐息が近づいてきて。

唇に感じる息づかいが、くすぐったい。






ふたたび唇と唇が重なる前に、小さく、聞こえたコト。




まるで、私の中に落とすように。





たしかに、アイシテルと、言った。







< 84 / 92 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop