ミライデザイン
「あー、沙祈すき」
私のキモチを伝えると、マウスを掴んだ私の手ごと、左手で器用に包み込んで、体重を預けてくる棗。
まるで猫のようにすり寄って、背中側から頬を寄せてくる。
「え?」
なんでこのタイミング?と思ったことが伝わったのか、私の疑問に棗が笑みをこぼす。
ふれているところから、棗が喋るたびに動く骨の振動が、私にまでひびいてくる。
「いや、これみせたとき、あまりにも沙祈が無表情だったから内心ミスったかと思ってさ」
「それは、ちがくて……!」
「ん、それはその後の沙祈の反応みて十分にわかったからいいんだけど。
テンパってる中で、ポロッと、あぁいう嬉しいこと言ってくれちゃう沙祈が、すきだなって。改めて思ったわ。
だから口にしてみた。以上」
棗の突然の告白に、びっくりして棗の表情を探しにいくと、鳥が啄むように、器用に奪われたくちびる。
目をまたたかせる私に、棗はワルイ顔。
「今のは、沙祈がこっち向いたから」
「……っ」
そういって、さらりと、もう一度を、最初よりもたっぷりと深く奪っていく棗は、間違いなく確信犯で。
わかっていながら、よろこんで応えてしまう私も、棗に負けじと、確信犯なのかもしれない。