ミライデザイン
「ちょうど、式自体のイメージは、沙祈と話して固めたいと思ってたんだよね」
「えー、たのしそう!詳しいことは考えてなかったけど、セルフプロデュース、おもしろそうだね」
左手で私の肩くらいまである髪をすくって、耳にかけた、棗の熱をもった指。
猫目は、やさしい三日月を描いていて。
その目が一度見開いてから、また、弛む。
「意外だわ」
「え?」
「0から決めるの、沙祈はちょっとこわがるかと思ってた」
……そういえば。
自分を確固としてもった、この、黒色の瞳に。
これだけたくさんの表情があって、色があることを、3年半前。同期の頃の私は、まだ、きっと、10分の1くらいしか知らなかった。
それは、元々棗がもっていたものを、私に魅せてくれるようになったのか、私といることで、生まれたものなのかは分からないけど。
私は、棗と出会って恋をして、毎日を育んでいくなかで、今まで知らなかったワタシにも、新しいワタシにも、たくさん、出会ってきたよ。
「棗が私に、こわくならないヒケツを教えてくれたんでしょ」
「そうだっけ?」
「ミエナイことが怖いなら、みえるまで積み重ねていけばいいって。棗はいつも、姿勢で魅せてくれてたよ」